2006年9月8日 ソワレ
クィーンズシアター(ロンドン)
John Owen-Jones - Jean Valjean Jeff Nicholson - Javert
Jon Lee - Marius Sabrina Aloueche - Eponine Simon Bailey - Enjolras
Sophia Ragavelas - Fantine Gina Beck - Cosette
Tracie Bennett - Mme Thenardier Chris Vincent - Thenardier
キャストチェンジがあったら、やっぱりかならず観たいレミゼです。今年は、なんといっても、ジョンリー君のマリウス復活ですし。運よく出張先の仕事がお昼で終わることになっていたので、夕方の飛行機予約して、開演には間に合わないだろうと思いつつ向かったロンドンですが、ちゃんと開演にも間に合いました。嬉しいよ〜。いやあ、よかったです。久しぶりに、これぞレミゼ!、これこそレミゼだわよという、あとからじわじわ翌日に持ち越す感動の余韻、最初の時に味わったあの感触です。
今回は、20周年たった記念公演とかいわれてましたが、別に会場にそれらしきこともなく、記念のスーベニアブローシューとかいってますが、単に前のキャストからかわってないじゃんということで、これはパスしました。で、演出が、ちょこちょこかわっていて、びっくりさせられる場面がいくつかありました。記憶はさだかではないのですけど、最初の労働者(ジャンバルジャンが解放されて、お金が半分しかもらえないところ)のお洋服がかわっていたみたいだし、裁判のところにマリウス役の俳優さんいなかったし、マリウスとアンジョルラスが橋から最初に登場する前に、舞台の横に出てきたし、いちいち、Oh〜とか思いながらみていたのでした。
ジャンバルジャンは、一番人気といってもよいジョンオーエンジョーンズです。わたしは、前いオペラ座の怪人でみて、ふ〜んという感じで、すご〜いうまいとは思わなかったけど、この人のファントムがいいという人も多く、ジャンバルジャンの人気投票でも1位だった人です。歌はまあ、いうまでもなく安定しています。それにもまして、わたしは演技のほうがよいと思いました。この人のバルジャンは、やさしさにあふれるタイプでなく、人生の荒波くぐって厳しく生きるバルジャンです。自分を律して、神の御心に叶う生き方を貫きたいという心持があふれており、これは初めてみるタイプのバルジャンでした。ジャベールを逃がすところで、’君は何もわかってない’というところとか、ちょっと怒りをこめて胸ぐらをつかみながら歌う解釈などその一例です。わりと、ここは、ジャベールを哀れむように歌う人が多いと思うのですけど。'Bring him home'は、ぐっときました。これは、本人も自信満々なのでしょう、最後をのばす、のばす、涙腺ぐいぐい揺さぶられました。
ジャベール、残念です。アンダーでしたよ。期待してたのに。ロンドンのジャベールでだめだったのは、この人がはじめてかな。2004年末のアンダーの人は、すごかったのに。もしかして、普段の実力がだせてなかったのかも。と、いうのは、フォンティーヌの逮捕の場面で、出だしでつまづいて歌わなかったのです。びっくりしました。これ、オーケストラもよくなかったと思うけど。テンポが速すぎてましたから。ジャベールの歌は、彼の歌をかわきりに場面が展開しはじめるというのが多いじゃないですか。だから、これ以降の歌の出だしが、なんかいつも危なっかしく、ぱっとしなかったのです。これが、今回一番の残念どころです。
フォンティーヌ役の人は、前にエポニーヌ役で見た人です。この人も、歌はいまいちでした。だけど、見た目の美しさと演技はよかったので、工場を解雇されて以降は大変よかったです。工場の中で、ひときわ美しくて目をつけられる若い女性という感じにぴったりでした。娼婦になって、なげやりになり、逮捕の場面でジャベールにすがり、病院のベッドでコゼットを思う、どれも哀れを誘っており、あとは’夢やぶれて’の歌が上手になればOKです。
ティナルディエ夫妻は、若返っていました。これまでの、狡猾でずるがしこい根の深い悪人というより、ちんぴら系の悪です。ちょっと、作りすぎかなと思うところもありましたが、好演してました。これから、時を重ねるともっとよくなるなという感じです。
エポニーヌは、よかったですよ。もう、かわいそうで、切なくて、なんでこの子が愛されないのかしらという思いで胸がきゅんとなりました。これは、この女優さんがよかったというのもあるのですけど、やっぱりマリウスとのコンビネーションなんですね〜。
そして、アンジョルラス。もう、オリバー以上のアンジョルラスは期待してなかったので、今回もあんまり怒ったりはしませんよ。今回のアンジョルラスは、We will rock youに出ていた人なんですって。なるほどね、まさにWe will rock youですよ。ぐるぐるに白いシャツを腕まくりしているんですんですから。真っ黒い髪をぶつっとおかっぱみたいに切って、黒いおひげもあって。まさにワイルド系、We will rock youなのですよ。歌は、それなりです。アンジョルラスにかっこいい系をもってくるのはやめちゃったのかな、ロンドン。ある意味、リーダーシップのあるタイプの人なんですけど、原作の優雅で美しい美青年のイメージはもやはロンドンにはないらしいです。う〜ん、We will rock youなアンジョルラスか。微妙〜です。蛇足ですが、このあと、アダムのデマチしているときに、帰る姿を目撃しました。その姿もWe will rock youでした。
わたしは、こんなに願いが早く叶うとは思っていませんでした。生まれてはじめてみたレミゼで何より心を打ったのは、マリウス、金髪さらっさらっのカラレス青年、ジョンリー君でした。彼のマリウスを観たのは1回だけ、もう一度みることができたならと何度祈ったことでしょう。彼以降にみたマリウスは、みんなみんな濃くて、唯一ダニエルリーブス君だけはそれなりにかわいかったけど。今年再演ときいて、どんなにどんなに早くロンドンに飛んでいきたかったことか。金曜日のソワレなのでアンダーが出ることはあるまいと思っていましたが、キャスト表と工場労働者の中に実物を発見したときの安堵感たらありませんでした。で、実際ですね〜、よかったです。わたしの中の、これこそマリウス、待ってたよこの時をという感じでした。彼の歌い方って、いわゆるミュージカル系の歌い上げる熱唱系ではないのです。だから、力をこめて感情いれても、嫌味になりません。Empty chaires at empty tablesの’どうか、聞かないでくれ、君達の犠牲は何だったのかを’のところ、ジョンリー君も感情ぶつけて歌っていたのですけど、これならいいわという力強さです。他の人のは、強すぎて、なんだかひいちゃうわというのが多いのですけど。あと、ジョンリー君のマリウスって、無邪気なのです。エポニーヌの恋心にちっとも気づかないくせに、エポニーヌの死ぬところは、本当に愛おしそうに抱きしめて、(この子は、エポニーヌが怪我していることで戸惑ってよそ見をする演技はしないようです)抱きしめ続けるのです。死んじゃったら、おお泣きするし。そんなに悲しいなら、生きているときにもっとやさしくしてやれよと思うくらい。かと、思うとコゼットには、めちゃめちゃぞっこんだし。わたしにとってのマリウスは、ジョンリー君しかいないわと再認識した夜でした。
その他、司教様が、去年観たアンジョルラスのアンダー、デビッドサクソン君でした。これは、以外。アンジョルラスが司教様か〜と、妙なことを考えてしまい、ちょっと感情移入できませんでした。
去年のうすきキャストに比べ、今年はなかなかよいですよ。ジョンリー君がマリウスのうちに、またロンドン行けないかな〜と思う今日この頃です。ジャベールもファーストの人で見たいしね。レミゼ、やっぱり大好き。一番好きなミュージカルです。
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