Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [49]   世界バレエフェスティバル Bプログラム
2006年8月11日 ソワレ
東京文化会館(東京)
 
本日は、Aプロの時の教訓で、体力温存せねばと思い、半休とって、家でちょっと休んで上野にむかいました。案の定、Aプロほどではないにしろ、4時間半。当初、Aプロしかいかないつもりでいたのですが、プログラムの変更が発表になって、Bプロに見たい演目がいってしまったので、あとでチケットとったのです。つまりは、予定外。当然、お得意のE席、5階でございます。5階は、暑いです。熱気がみんな上にくるそうです。おまけに2列目。2列目となると、後ろに人がいませんから、これという演目の時は、みんな立ってみるのです。これは、初体験。それに、この列、おじさんいえいえ、壮年の男性が結構いるのです。日本の男性、バレエ観る人こんなにいたんですね〜。
 
それでは、またビギナーの素朴な感想です。
 
第1部
ディアナとアクティオン
ワガノワ振り付け
ヴィエングセイヴァルデス ロメルフロメタ
初っ端から、大変よかったです。Aプロラストのドンキホーテでお客をわかせたキューバコンビです。 女性のほうは、テクニックもきっちりしている上、とてもエレガント。男性のほうは、もう踊るラテ ンの肉体というか、ラテンの塊というか。いきなり、こんな迫力のソロを踊られたら、あとで踊るヨ ーロッパ組の男性陣どうしましょうという感じ。ドンキホーテもよかったけど、さらに本日のディア ナとアクティオンよかたです。
 
リーズの結婚
アシュトン振り付け
エレーナテンチコワ フィリップバランキエヴィッチ
衣装がかわいくて、この2人は西洋人形みたい。フィリップ君、でもオネーギンがよかったので、そっ ち系にしてほしかったです。まあ、このかわいい系もよいですけど。カーテンコールの時、ひざまづ いて、テンチコワの手にキスする姿がノーブルで素敵でした。
 
幻想ー白鳥の湖のように 第1幕のパドドゥ
ノイマイヤー振り付け
ジョエルブーローニュ アレクサンドルリアブコ
白鳥の湖のようにといえども、この曲は初めて聞きました。それに、第1幕のパドドゥってどこのこと かしら?と思っていたら、これは、全く違う白鳥の湖なのでした。ルードウィッヒとナタリア王女で すって。ノイマイヤーらしく、これもとてもロマンチックです。ちょっと暗いので、5階からだと見え にくいといえば見えにくいのですけど。Aプロで椿姫を踊ったコンビ、今回も強い印象は残さない薄味 ながら情緒あふれるダンスでした。
 
 
海賊
プテイパ振り付け
イリーナヴォロヴェンコ ホセカレーニョ
これもお見事。ヴァロヴェンコさん美しいし。ホセカレーニョ、奴隷なのに品があって、アリのソロ が美しかったです。惜しむべきは、衣装。1階でみた人によると、あのパンツは水玉じゃないそうです が、わたしには水玉模様にみえました。ゼレンスキーや、アダムが着ていたようなサテンの薄いブル ーパンツの方がよかったと思います。
 
第2部
ロミオとジュリエット
ラヴロフスキー振り付け
マイヤマッカテリ デヴィッドマッカッテリ
この前何かでみたときは、ここは、マクミランのロミジュリのはずだったんですけど。
Aプロでクランコ版のはじける若さのロミジュリを観たせいか、ラヴロフスキー版、まったりしていま す。マッカテリ兄、どうも若き恋に悩めるロミオにはみえないのです。重いイメージだし、暗いイメ ージだし。マッカテリ妹は、5階からみるかぎりとてもかわいくて美しいジュリエットです。2人は兄 妹という先入観もあるせいか、いまひとつぱっとしないロミジュリでした。
 
カルメン
アロンソ振り付け
ガリーナステパネンコ アンドレイメルクーリエフ
どうみても、ステパネンコが年上の姉さん娼婦に見えてしかなったかったです。ホセは年下の少年み たい。っていうか、どうもマシューボーンを観るものとしては、メルクーリエフのホセって、’ Carman'のアンジェロみたいにみえるのです。完全にステパネンコ姉に圧倒されっぱなし。あんまり恋 愛劇にはみえませんでした。
 
チャイコフスキーパドドゥ
バランシン振り付け
アリーナコジョカル ヨハンコボー
Aプロで、このペアの春の声を一目もみず、眠ってしまった後悔があったので、絶対ここははずせない わと思っていました。ヨハンコボーみなくちゃね。コジョカルは、オネーギンでしっかりみたので。
なるほど、わたしが持つイメージの英国ロイヤルっぽい、お行儀のよいダンスです。コジョカルもかわいいし、 ロイヤルだわ〜という感じ。
 
白鳥の湖 黒鳥のパドドゥ
プティパ振り付け
ボリーナセミオノワ フリーデマンフォーゲル
う〜ん、どうしてこのペアがこれかなと、ちょっと不満な感じです。悪くはないのですけど、この若 さあふれるペアなら、もっとさわやか系の演目あったんじゃないでしょうか。フォーゲル君は、断然A プロのロミオのほうがよかったです。この王子、子供っぽいのです。これから、結婚する年齢にはみ えません。ボリーナちゃんは、さすがのきれ味。でも、わたしが以前みたのは、ザハロワとジローな ので、その貫禄と大人っぽさが欠けていたように思います。それ以外は大変よかったです。それゆえ に、なんだかフォーゲル君とのギャップでバランスがいまいち。
 
第3部
眠れる森の美女
プティパ振り付け
ルシンダダン マシューロレンス
オーストラリア組が、眠りね〜。この退屈な演目を、どう見せるのでしょう。
ふたりとも、容姿はかわいいけど、なんかぱっとしないんですね〜。どうも、まあまあ感が消せない できでした。悪くはないけど、まあ、まあ。ほんと、まあまあね。
 
椿姫 第2幕のパドドゥ
ノイマイヤー振り付け
オレリーデュポン マニュエルルグリ
嬉しいよ〜。Aプロで感動した椿姫が2演目も、パリオペの人々が踊るなんて。先行は、デュポンルグ リ組。まあ、いうことありません。ルグリがちょっと落ち着きすぎという感じは否めないのですけど 、テクニカルな安定感といい表現といい、ここだけ格が違いますよという感じ。Aプロのハンブルグ組 みもよかったのですよ。なぜか頼りなさのただようリアブコは、今回3人のアルマンの中で一番しっく りきていたように思うし。そこは好みもあるかと思いますが。オレリーが美しい。ノイマイヤーの作 品の女性は長めで下にごっついペチコートをはいた、いかにもリフトの邪魔になりそうな衣装なので すけど、実は、この邪魔そうな(たぶん踊るには邪魔)衣装の動きも物語を盛り上げているなと思え ました。
 
ジュエルズーダイヤモンド
バランシン振り付け
ディアナヴィシニョーワ ウラジミールマラーホフ
Aプロのパリオペ組の衣装にくらべ、よくいえばシック悪く言うと地味です。
振りもこれという大技があるわけでなく、物語性もあるわけでもなく、ひたすら、古典な動きをベテ ラン2人が一糸みだれぬほどに踊り続けるわけです。実際、もりあがりとかなくて、古典的な衣装に古 典的な振りを静かに静かに。多分、自分達の実力に自信もっているんだろうなという感じ。退屈とい えば退屈になりそうなところを見事見せ場にしていると思いました。
 
孤独
ベジャール振り付け
ジルロマン 那須野圭右
これは3パートくらいにわかれたシャンソンから成っています。最初のシャンソを聞いたとき、ああ これが映画’ルミエール’でジルが練習していたものねと思い出しました。う〜ん、ジルって踊りは きれいなのに。振りが変。どうもベジャールの作品、個人的に苦手なのかもしれません。
蛇足ではありますが、この作品が始まったとき、ジルロマン勇気あるよねと思いました。ヴィシニョ ーワ、マラーホフの奇をてらわない技なき芸術みたいなダンスのあとに、こういう系統を踊るってい うのはね。個人的には、ベジャールでない作品でみてみたいダンサーです。
 
椿姫 第3幕のパドドゥ
ノイマイヤー振り付け
シルヴィギエム ニコラルリッシュ
椿姫というだけでも嬉しいのに、この組み合わせ。ニコラ、テクニカルもメンタルもOK。こちらもリ アブコ君よりは年齢いっていて落ち着いてるかなと思いますが、その安定感と表現力は比ではないで す。ギエムはいつもギエムでマルグリッドに見えないという意見もあったようですけど、ニコラとも にくりひろげるダンスの正確さと円熟したダンサーのつみあげてきたものという点で、この2人の椿姫 も大変よかったです。3組とも、甲乙つけがたい。
 
第4部
ドリーブ組曲
マルティネス振り付け
アニエスルテステュ ジョゼマルティネス
これはジョゼの振り付けだそうです。アニエスの紫のグラデーションの衣装が美しい。
作品的には別に面白みのない平凡な古典系の振りです。でも、この2人が踊るとそれなりの輝きがあり ます。多分、これは、ジョゼがアニエスと2人だけのために作ったのでしょう。だって、これ手足がな がくって、すっとしたダンサーが踊ってこそなので、他の人だと単に退屈な作品ということになって しまうと思います。
 
三人姉妹
マクミラン振り付け
タマラロホ イナキウルレザーガ
マクミラン、やっぱり好きです。官能的で、刹那的な激しさのあるドラマチックな振り付け。
大変よい作品なのです。ロホが抑えつつも情熱があふれてくる不倫な人妻を演じ魅力的です。その相 手役の軍人さん、緑の素敵な軍服なのに。そう、イナキ、ずんぐりむっくりなのですよ。残念としか いいようがありません。もし、この役をシュトゥトゥガルトのフィリップ君がやってくれていたなら 、もう今回のベスト3にはいったかもしれないのに。容姿は大事。
 
マノン
マクミラン振り付け
アレッサンドラフェリ ロバートテューズリー
この演目がシフトしたので、Bプロ買ったようなものです。テューズリーのデグリュー、また観たかっ たのですよ。う〜ん、う〜ん、期待にたがわず、すばらしかったです。フェリのマノン、もう死んで しまいそうで(まあ、死ぬところなんですけど)最後の最後に頼るものがお互いしかなく追ってをの がれてさまよう悲しい情熱いっぱい。もう泣いちゃいそうなくらいです。もっと、もっと観ていたい と思える作品でした。
 
ドンキホーテ
プティパ振り付け
レィシアオリヴェイラ ズデネクコンヴァリーナ
Aプロの派手なキューバ組のパフォーマンスがあったので、印象うすいこの組はどうなるのでしょう? とちょっと同情寄せて見守ったところ、それなりに最後もりあげていました。ズデネクコンヴァリー ナ君、線がほそくて、どうもラテン系にはみえず、元気のないバジルでした。それに比べ、ポアント で立つとちょっとぐらぐらするものの、レティシアちゃんは元気いっぱい、キュートなキトリでした 。
 
Aプロに比べ、コンテンポラリーが減ってモダンが増えたせいもあり、演目は楽しみなものばかりで大 満足です。Bプロはつまんなかったものはひとつもなく、悪くてもまあまあという感じ。できることな ら、ガラもみたかったところですが、競争率激しすぎてあきらめました。本日は、A,Bプロの最終日と いうことで、ダンサーのサイン入り手ぬぐいがばらまかれました。上の階の人は、その恩恵にあずか れないので、NBSが考えてくれたらしく、末尾が3の3階から上の人は、全員にプレゼントしてくれる とのこと。ラッキー、いただきましたよ!ほんと、お祭りなのですね。豪華でした。3年後、また楽し みです。
 
 
update:
2006/08/12



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