2006年7月29日 ソワレ
帝国劇場(東京)
クロック伯爵:山口祐一郎 アブロンシウス教授:市村正親
アルフレッド:浦井健治 サラ:大塚ちひろ
ヘルベルト:吉野圭吾 クコール:駒田一
別に意図したわけではないのですけど、6月7月は劇場から足が遠のいて、2ヶ月ぶりの観劇です。帝国劇場は、アスベスト除去工事のおかげで改装されたと聞きましたが、座席をはじめたいしてかわってないわと思ったところ、お手洗いが大進歩。必要なところにお金をかけた帝劇、えらい、えらい。
で、’ダンスオブヴァンパイア’です。う〜ん、まあ、多少予想はしておりましたが、半端な作品でした。たいてい、どんなによくできていても翻訳物は、オリジナルに比べ2割から3割がたレベルが落ちるのは通常なんですけど、それにしてもね〜。まあ、悪いわけじゃないのですけど。思うに、これ、日本の製作サイド、十分に消化しきれてないのではないでしょうか。場面場面が、ぷつぷつ切れてつながってないような印象を受けたのです。歌もそれなりによい楽曲のようですし、役者さんだって豪華です。ツボをはずれたマッサージみたいな感じがしました。
今回、嬉しいのは、浦井君が最初っから、最後まで、ず〜とでずっぱりということです。ちょっと気弱で単純な研究者の青年で、宿屋の娘サラをみてすぐに恋に落ちてしまいます。2階席からみると、手足長くて、顔がちっちゃくて、あいかわらずブーツでの立ち姿がきれいで、’アルジャーノン’の頃にふっくらしすぎていたのもおさまったようです。アルフレッドの役は、これという特徴もないわりと普通の青年なんですけど、今の浦井君の年齢にぴったりで、肩に力をいれすぎず、さらっと演じているのがよかったです。こうして力をぬいて、演じることもできるようになったのねと、また成長した一歩を感じました。大塚ちひろちゃんとは、前に共演したせいか、ふたりのデュエットは’シンデレラストーリー’のようでした。
わたしは、大塚ちひろちゃんは、わりと好きなのです。すごく歌がうまいとかでもないし、美人でもないですけど。まだとても若いせいか、歌声が素直にのびるところがよいです。第二幕の最初は、山口さんとのデュエットです。このような若さで、山口さんと同等にデュエットする女優さんって初めてみました。浦井君のマリウス、ちひろちゃんのコゼットで’Heartful of love'など聞いてみたいものです。
1幕終わって、そういえば、駒田さんが出てないね〜とプログラムをみていたら、ちゃんと1幕から出演なさっていました。せむしのクコールだったんですね〜。ほとんど何をいっているのかわかならないし、歌わないし、惜しいです。
この作品は、ダンスオブヴァンパイアというだけあって、ダンスシーンがいっぱいです。が、よくなかったです。ダンサーが上手くないんです。みせるべきところが見せ場になってない。あと、クロック伯爵の影の存在みたいな人で、ダンスをする人。これが無駄です。目障りでした。
なんか、いまいち、いまいちと思うことの多かったこの作品、その中で、この人だけはよかったのが、吉野圭吾君。彼だけは、ぴったりすぎるほどはまっており、そこだけ作品にはりこめました。まあ、きわどい役なので、おいしいといえばおいしい役なのですけど、演じるほうがしっかりやってくれないと観客はしらけてしまうような役柄です。いろんなことふっきって、思いっきり演じたのがよかったのでしょう。
特チケでてますけど、今回はリピートなしです。泉見君のアルフレッドもみたかったけど、まあ、いいです。もうちょっと、きちんと練り直して、作品として完成させてから、上演したほうがよかったですね。
|