2006年5月20日 ソワレ
新国立劇場オペラ劇場(東京)
ヨハン:ロバートテューズリー ベラ:アレッサンドラフェリ
ウルリック:小嶋直也
去年ロイヤルの'マノン’でピンチヒッターを務めたロバートテューズリーをまた観たいわと常々思っていたのです。この人は、わりと日本でのお仕事が多い人らしく、その後も’2羽の鳩’、’ジゼル’、’アビアント’などに出演しており、見たいと思いつつ予定がうまくあうことがなくやっと観ることができました。
新国立劇場で舞台を観るのもはじめてですし、ふりかえれば、日本のバレエ団の人々をみるものも初めてでした。プティの作品はビデオではみたことあったけど、生は初めてです。テューズリーのおかげで、初体験満載の観劇となりました。
あんまりよく考えずにとったチケットですが、こんなにヴィヴィッドで楽しい舞台とは知りませんでした。普通に、ちょっとモダンっぽいバレエかなくらいにしか考えてなかったのです。コスチュームも華やかだし、ライトニングやセットもバレエというより、ミュージカルのようです。ダンスは、クラシックベースなところがあるかと思えば、全然クラシックとはかけはなれたダンスもあり、エンターテイメント満載の作品です。本日は、バレエ気分で出かけてきたのでちょっと意外でした。
舞台は、少し裕福な都会の家庭のようです。フェリの奥様姿が大変美しいです。青いドレス、結い上げた髪、子供も4人いて、メイドもいて何不自由ないようですけど、旦那様に愛されているのか不安な様子。旦那様のヨハンは、あんまり家庭に興味なさそうで、夜になるとこうもりに変身して夜の街へお楽しみに出かけます。その悩みをウルリックに打ち明け、ベラ自身も変身して夫を逆に夜の街で誘惑するようもちかけます。ベラとウルリックの策略にまんまとヨハンはひっかかり、変身したベラにすっかり夢中です。あまり夢中でけんかにまきこまれ、刑務所にいれられます。そのヨハンをベラが助け、ヨハンのこうもりの翼をはさみできります。ヨハンは、もう外への目をむけることなく、家庭にもどります。
フェリも初めてです。うわさには、聞いていましたが、かわいい人でした。この人の’マノン’みてみたいなと思わせる、男の人を惑わすようなかわいらしさと強い意志を秘めた黒い瞳をもっています。最初の頃の奥様ぶりもかわいかったけど、やはり変身して夜の街へでかける姿が光っていました。
そして、期待のテューズリーですね。へえ〜、この人、こんなダンスもするのか〜というクラシックとはかけはなれたダンスがすごく意外でした。バレエダンサーでもコンテンポラリーだって、モダンだって踊るでしょうけど、この人は、クラシックの人と、固定観念あったのです。バレエのシーンは、期待どおりです。わたしは、この人が、基本的に好きだなと思いました。これは、通常わたしの動機となるヴィジュアル的魅力、美形とかかっこいいというのとはちょっと違います。クラシックの振りの時の感じが、なんだか好きな感じなのです。今回の役は、彼のイメージとはかなり違うと思います。悪くはないし、よかったのですけど、わたしが思う本来の感じとは違うと思います。コミカルとか、奔放な役よりも、どちらかというと抑え気味な禁欲的な役のほうがあっていると思えます。しかしながら、このような役もやれる人なのだと知れたことはよかったです。
日本のバレエ団の方々は、思ったよりよかったです。普段、日本のミュージカルなどで見る群舞とは格段の違いで洗練された動きでした。やはりバレエが基本ということなのでしょうか。体型的にも女性に関しては、見劣りしないし、男性はヴィジュアルはもう一つですが、ダンスの部分がだめだわと思うところはありません。ただ、大きさを感じる広がりがないのはなぜだろうと思いました。ウエイターとチェルダッシュでソロを踊った人がうまいわ〜と思っていたら、この人はロシアの方だったそうです。顔は、ちょっと外人ぽい日本人かなと思っていたら、外人さんでした。群舞は、衣装と振り付けがおしゃれで大変華やかなな印象でした。日本人、悪くはないけど、できることなら、パリオペで観たいとかぜいたくなことを思ったりしました。今回代役の小嶋直也さんは、うまい方なのでしょうが、小柄なせいか印象に残るようなダンスではありませんでした。器用にこなしてはいるなと思いました。
最後は、ウィンナワルツの舞踏会です。新国立バレエの方々の群舞もよかったですけど、やはりフェリ&テューズリーのワルツは見た目にも美しく大変よかったです。
この作品のDVDは、フェリがやはり出演しており、その他はミラノスカラ座の方々だそうです。う〜ん、そっちがみてみたい。ヨハン役は、イタリア男性の方がたしかによさそうです。’こうもり’は、別キャストで、テューズリーは別のクラシック作品でまたみたいなと思わせる舞台でした。
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