2006年5月3日 マチネ&ソワレ
New Victoria Theater(Woking)
Rusty : Oliver Thornton Pearl : Maria Parvin Poppa : Michael Samuels
Greaseball : Tom Kanavan Electra : Mykal Rand Caboose : Stuart Armfield
いったい、Wokingってどこなんでしょうね?聞いたことありませんね。今、Starlight ExpressはUKツ アー中なのです。レミゼのアンジョルラス、オペラ座のラウルを終えたオリバー君の今のお仕事は、 このStarlight Expressです。2月にDevonから始まったツアー、ず〜と観たかったのです。アダムの 予定が出たら、たとえ一泊しなくちゃいけないところでも観にいくわと固く決心していたら、なんと ラッキーな、この時期ロンドンに一番近いツアー場所にあたったのです。そうですね〜、ピカデリー サーカスが渋谷なら、サドラーズのあるエンジェルは池袋、コベントガーデンは青山、Wokingは横浜 あたりの位置関係でしょうか。Waterlooから列車でほんの30分くらいの郊外のおちついた街です。
入り口で、おもちゃのサングラスを渡されます。だいたい、お話あんまり知らないけど、一応、ロン ドン版のCDは聞いてきました。実は、オリバー君は、Starlightは初参加ではありません。ウエストエ ンドデビュー前に、Germanyツアーに今とは違う役で参加していたらしく、その関係でドイツにファン サイトがあるくらいです。過去の写真をみるかぎり、お顔にペイントするらしい。残念です。あの美 青年ぶりを隠してしまうなんて。
幕があがり、ローラースケートをはいた列車に扮した俳優さんたちが登場します。各国代表の列車ら しく、国旗をもって列車のヘルメットをはずしてお顔をみせてくれます。ドイツの列車あたりでしょ うか。同行した友たちが口々に、’あれよね、あれ’と言うのです。彼女らは、去年、オペラ座のラ ウルを遠くの席からオペラグラスでながめたのです。わたしがWokingくんだりまで行くといったら、 アダムのマチネがある日なのに、いっしょに来てくれた人々です。しかし、わたしはこの中の誰より オリバーを見ているので、その人が別人であるに違いないと思いました。まあ、ドイツ列車、ちょっ とかわいかったってことなんですけど。
そして、これら一通り出終わると、女の子の列車(食堂車とか、展望車とか)といっしょに線の細い 蒸気機関車のRusty登場です。この子ですよ、皆さん!幸いにも、ペイントしてません。ちょっと、お まぬけな落書きめいたものがお顔に書いてあるけど、ほぼ素のままのオリバー君です。ローラースケ ート姿も様になり、安定したすべりです。
で、お話ですけど、ようは、列車が競争するのですよ。ディーゼルエンジンのグリースボールがディ フェンディングチャンピオンで、それに電気列車のエレクトラが新登場して、女の子の列車はそっち にいっちゃうわけです。Rustyの好きなPearlは、最初Rustyと組んでいたのに、グリースボールについ ちゃうし。レースは、二人組みというか、2両編成で、メインの列車とその連れという感じ。Rustyは 、Pearlと組みたかったのに裏切られてすっかり意気消沈。もう蒸気機関車の時代じゃないと落ち込む わけです。その間、グリースボールたちは、ドイツのゴールドラッシュとか、英国のプリンスウェー ルズ、日本の新幹線なんかにばんばん勝ち続けます。その様子をみたRustyの父Popperは、蒸気機関車 の力をみせつけるべくレースに挑戦し勝ちますが、老齢のためぼろぼろになります。その父の姿をみ て、自分もレースに参加しようとRustyは挑みますが、いっしょに組んだCabooseの裏切りでレースは 中断してしまいます。で、あんまり把握してないのですけど、また落ち込んだRustyはStarlight Expressの伝説だかに勇気づけられ再び挑戦することにします。最強のグリースボール、エレクトラと 対戦し、ついにRustyは勝利を勝ち取ります。その勇気にひかれて、Pearlももどってきてふたりは愛 を誓います。
単純なお話でしょう。子供だましだよね。でもですね〜、よかったよ。音楽がアンドリューロイドウ エーバーなのです。今回、Guysでもメアリーポピンズでもわたしを悩ませたセリフのない、歌だけの ミュージカルです。そして、俳優さんたちが、ローラースケートをはいてダンスするのです。あ、ま ねしたのは、光Genjiの方ですから。(古い)そのスピード感のある展開と音楽の美しさ、もうウエス トエンドからは去ってしまったけど、名作は名作だわと実感です。登場人物は少ないだけに、ひとつ ひとつの列車の個性が際立っており、一人の俳優が無駄なくパフォーマンスをみせていました。笑っ ちゃうのが、日本の新幹線。日本語のセリフは、’エイエイオー’でした。ちなみに名前は、 Nintendo。演じていたのは、白人の人でしたけどね。
ところで、あの入り口のサングラスは何に使うのでしょう?と、思ったら、レース風景はでっかいス クリーンに3D映像が映し出されるのです。多分、ロンドンのオリジナルバージョンは会場でちゃんと レースをしたのでしょうが、地方の劇場じゃあ無理ですものね。なんだか、ディズニーランドみたい でしょう。臨場感があっておもしろかったです。これは、お持ち帰りできますので、わたしの手元に はマチネ&ソワレ分二つあります。思い出の品です。
そして、そして、何をもったいぶってもしょうがいないのですけど、オリバー君ですね。Eメールで前 の方の席にしてねとお願いしてたら、B列のど真ん中とってくれましたので、オペラグラスなしで顔の パーツまでくっきり。この子って、近くで見れば見るほど、美しいのです。今回は、アンジョルラス とかラウルのようなかっこいい系の強い青年でなく、気弱なかわいそう系です。これが、また愛おし くて、ちょっと胸きゅん状態。一幕おわって、友達は、’かわいいわね〜’とほほが一様にゆるんで います。で、平日マチネのせいか真ん中あたりがあいているので端っこから移動してきて二幕はさら にど真ん中で堪能したようです。この舞台の白眉は、二幕のRustyのソロです。星空をバックに、オリ バー君が’Starlight Express'と叫んで、(おお、この子は声量がないのに、生で叫んで大丈夫か? )あの名曲’Satarlight Express'を歌うのです。舞台は彼の顔を照らすスポットライトのみ。後ろに はきらきらの星空。オリバー君の瞳もきらきら、星が瞳からこぼれおちてきそうです。う〜ん、この 演出、なんてこの子に似つかわしい。主役をやる人って、必ず舞台のどこかで、その理由を納得させ られる場面があるものですが、ここはまさに、彼のこの天性の輝きが、彼をここに導いたことを教え る場面でした。
最後のカーテンコールは、スケートはいてのダンシング、ダンシング。オリバーは、パールの女優さ んをローラースケートはいたままリフトしてました。
わたしは、アダムのソワレに向かう友を見送り、再度オリバーを堪能して帰りました。右肩が痛くて 、まだ拍手もできないくらい手があがらなかったけれど、心はほんわり幸せいっぱいでした。一足先 に帰った友たちも、ロンドンに残っていた友によると皆、しあわせそうにして帰ってきたとのこと。 オリバーの美しさと初々しさと、このミュージカルの作品としての楽しさと、英国の春の温かさを感 じた一日でした。
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