2006年4月11日 ソワレ
日生劇場(東京)
ジャンバルジャン:石井一孝 ジャベール:鈴木綜馬 フォンティーヌ:マルシア
マリウス:泉見洋平 コゼット:剣持たまき アンジョルラス:東山義久
ティナルディエ夫妻:駒田一 森公美子 エポニーヌ:坂本真綾
日本では、一年ぶりのレミゼ、初の日生劇場バージョンです。本日は、中2階サイドのお席で、みやすいけど、もう1ランク値段下げてほしかったかな。勘弁してほしいのは、開演時間18時。平日の勤め人にこの始まりは酷でしょう。いったい、誰をターゲットにしているんでしょうね。レミゼは、最初もみのがせませんから、4時45分にお化粧なおして、49分にはコンピューターの終了処理開始して、5時ぴったりに電源きって走りましたよ。
ひさしぶりにみると、う〜んやっぱりレミゼは好きです。劇場を出るときの、ほのかな感動と幸福感、舞台のできはどうあろうとも、作品と音楽の力は大きい。何度みても、いつもこんな気持ちで家路につけるのは嬉しいものです。
さて、本日はですね、よいところは大変よく、弱いところがやっぱり弱い、濃淡明確な舞台でした。好みもあるかとは思いますが。今回は、わたしは、2回の予定です。ってことは、ジャンバルジャン二人しか見れないわけです。当然、今井さんははずせないんですけど、あとひとり、わたしは石井さん選んじゃいましたよ。前回までの石井さんは、熱いバルジャンで若いな〜という印象でした。この人は、もっと年齢を重ねるとよくなるのではという予感があったのです。今回はですね、大変よかったです。石井さんのバルジャンは、腰が低くて、すご〜く誠実でいようとまじめでひたすらなバルジャンなのです。横柄さが微塵もありません。おちつきもでて、歌はもともと上手い人ですから、さらに深みも加わり、わたしは石井さんのバルジャンは好きだなと思いました。
前回より、よかったといえば駒田さんのティナルディエ。もともと、ティナルディエをみるなら駒田さんという人も多いことでしょうし、人気の人です。それが裏目にでて、前回は、宿屋や結婚式での宴会でのもりあがりに人気者かげんが出すぎて、ティナルディエ本来の悪の部分が希薄に思えていたのです。今回は、ちょっとスリムにもなって、ティナルディエの欲深い悪人ぶりが表にでて、さらに歌がうまいですし、森公美子との芸達者同士のコンビが大変よかったです。
よいほうをまとめてしまうと、マルシアのフォンティーヌもいうまでもありません。歌も演技もうまい人ですので、もう3年目の貫禄もあり安心して場面をまかせられる感じがありました。
次にいまいちなこと。わたしは、坂本真綾ちゃんのエポニーヌは好きなのです。さすがに歌穂さんや本田美奈子さんみたいなうまさはまだありませんけど、マリウスが大好きで切ないいじらしさがよくでており、素直なところがよいのです。本日も、演技はよかったけど、声がお疲れ気味で歌がだめでした。’On my own'が声でてないと、エポニーヌの哀しさが伝わらないのです。残念、来週はがんばってほしいです。
もうひとりいまいちだったのが、泉見君。こなれてきたせいか、濃すぎ〜。ある方がミュージカル界の2枚だけど3大お間抜け青年の一人にあげたマリウス、今日の泉見君のマリウスは、たしかにそんな風にみえました。(ちなみにあとの二人は、オペラ座のラウル、ミスサイゴンのクリスだそうです。いわれてみれば、そのとおりだ。。。)マリウスはね〜、さらっとやってほしいのよ。そうでなくても目立つんですから。'Empty chaires at the empty tables'は、めちゃくちゃ濃くはなかったけど、う〜ん、もうちょっと抑えて、抑えてと思いながら聴いてましたけど、お友達があらわれるところは、やっぱりじわっときちゃいました。
で、だめだったところ。ジャベール、フランツ閣下です。どうせ、ジャベールは、みんな軽いから誰でもいいかなと思ったけど、鈴木綜馬さんは、くせがありすぎ。フランツはいいんですよ。違和感ないから。でもジャベールの歌に、あの歌い方はやっぱりあってないと思う。ジャベールの歌って、ソロもセリフもほんと、聞かせる歌ばっかりじゃないですか。’Star’や’自殺’はもちろんのこと、’話を聞こうか、誰がどうしたか’も、’奇跡をおこしたあなたのような’も’またも喧嘩か、ばかないざこざ、みていたものは話せわたしに’も全部好きなんですけど、閣下の歌は全部だめでした。ジャベール、考え直してほしいです。できれば、戸井さんとか、宮川さんとか、くせのない歌のうまい人にしてください。
そして、ファンの人にはごめんなさい。最低なのが、東山君のアンジョルラス。去年避けて正解でした。なんで、この人がアンジョルラスなの?歌が、まず全然だめです。ダンサーだから、しょうがないのか???あと、日本のアンジョルラスに共通していえることだけど、美しくない。っていうより、東山君のリーダーって、悪いけど、チンピラのリーダーみたいなんです。崇高な理想を掲げて、いのちを祖国に捧げる高貴な青年にはみえませんでした。
プリンシパルの人々は、上記のとおり、よきところと、そうでないところがくっきりでした。今回、感じがかわったのが、アンサンブルの方々。前より若返ったような気がします。全体的にこぎれいな青年が増えたような、気のせいかな?工場長が、えらく若い子で、ロンドンの大きなこわっぽい人や、上条コウさんのどすのきいた工場長とはちがって、若くていきがってる雰囲気があって、あれはあれでよかったです。グランテールは、阿部裕さんのイメージが強かったけど、今日は違う人で、ちょっと線が細かったです。回を重ねると、こういうお楽しみもでてくるのだなと気づきました。
そんなこんなで、日本のレミゼは、もう一歩かなと思いますが、大好きな作品なのでがんばってほしいです。来年は、新しい人といれかえなどあってほしいです。浦井君は、マリウスだと思っていましたが、煮詰まるタイプなので、アンジョルラスのほうがよかろうと最近は考えています。歌がいまいちとかいわれないよう、今年一年がんばって鍛えて、アンジョルラスめざしてください。
|