Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [74]   エリザベート 東京公演(7)
2005年9月18日 ソワレ
帝国劇場(東京)
エリザベート:一路真希 トート:内野聖陽
フランツ:石川禅 ルドルフ:パクトンハ
 
本日は、予定外の4回目です。始まる前は、今回は3回くらい、浦井君のルドルフをみればよいかなと思っていました。が、初日の禅さんの歌声が忘れられず、帰りに買ったCD聞くとパクもいい感じだし、帝劇にはB席あるし、なんやかやいって、もう1回観たかったのでした。
 
そうはいえども、わたしは、そ〜んなにこのミュージカル大好きというわけではないのです。実際、今日は二幕の最初の頃は、結構あきちゃって、マダムヴォルフとかギリシャの島のシーンはいらないなとか思いながらみていたのです。あ、そうそう、精神病院のシーンも。話は、つながっているので仕方ないかもしれないけど、ウィーン発のミュージカルはなんだかダレちゃうところがあるんですね。
 
本日は、そういうわけで、ダレたところと、とてもよいと感動したところがはっきりわかれためりはりのある舞台でした。なんといっても、よかったのは、禅さんのシーンです。若い皇帝フランツのウィーンのお仕事の場面って、いつもいいかげんにみていたのですが、よ〜くみるとフランツはちゃんと書類読みながらはんこ押したり、サインしたりしています。あれ?これは、、みたいな表情で書類を覗き込んだりもします。禅さんのフランツは、熱い奴なんです。鈴木綜馬さんは、わりと母上のいうことをそうかもねと受け入れて行動しているようにみえます。が、禅さんのフランツは、自分の考えがまずあって、母上に押さえつけられて意見をまげなくちゃいけない、ちょっと納得してないんだけどという感じがでています。きょうは、若き日のお見合いのあとのデュエットや’夜のボート’はもちろんよかったのですが、父としてのフランツという面も大変よかったです。浦井君にたいしてより、パクに対しての方が厳しいお父さんでした。熱い青年が大人になったフランツのこれまた熱い息子がパクのルドルフなのです。浦井君は、鈴木フランツの息子、パクは禅さんフランツの息子という感じでした。
 
浦井君以外のルドルフは、初めてです。浦井君は、西洋系のどっちかというとメルヘンな王子様をやらせたらこれほどはまるものはないというくらい王子様な人です。パクは、皇太子という感じ。アジア系の皇室の人。ああ、こういうルドルフもありなのねと自然とうなずける演技でした。少年のような浦井君のルドルフに比べ、パクはちゃんと青年皇太子で大人なのです。国を憂い、政治活動に挫折し、行き場を失った苦悩を母であるエリザベートにさえ理解してもらえない孤独がにじみ出ていました。’わからないわ、ひさしぶりなのよ’というエリザベートの歌あと、’ああ’と頭をかかえるのは彼のオリジナルでしょうか。残念なのは、高音が少し伸びないのですね、スタミナ不足かも。ダンスは、ちまちまってしていますが、その分演技に近く、テクニックの未熟さはあまり目立ちません。パクのルドルフは、熱い中に、凛とした高貴さと、奥底から垣間見える甘さのある、東洋系皇太子でした。よいのではないでしょうか。
 
今回、初日からずっと、なんか変、妙だわと思っているのが、エリザベートの長女が死んだあとに歌うトートの’闇が広がる’です。ウィーンでは、’私が踊る時’とともに、もっとも好きなところで、ここをCDにしてもらいたいと思ったくらい、スローなねっとりした’闇が広がる’がよかったのです。が、日本では、ここのシーン、トートは気がぬけたような声で歌うのです。二人ともよ。なんでだろう?ここで’闇が広がる’を歌う意味がわかってないような気がします。ルドルフとのデュエットの’闇が広がる’は、内野&や山口ともによいと思うのに、この最初の方は両方×です。こんな風なら、カットしてもよいです。
 
ルキーニの役を誰かにかわったほしいし、筧利夫なんかよいかもと前に書きました。今日、ふと、そうだ橋本さとしもよいかもねと思いました。ちょっと雰囲気かわりますが、ひと味ちがったルキーニになると思うのです。
 
9月は、エリザベート月間でした。いい加減あきました。来年再演されたら、今度は浦井君と禅さんが2回とパクと禅さん1回くらいでいいかなと思っています。(今回とあまりかわらないか)今、ウィーンではまた再開されて12月まで続いておしまいのようです。マテの声が聞きたいなと思いながら帝劇をあとにしたのでした。
 
 
 
 
 
update:
2005/09/18



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