Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [75]   エリザベート 東京公演(6)
2005年9月5日 ソワレ
帝国劇場(東京)
エリザベート:一路真希 トート:山口祐一郎
フランツ:鈴木綜馬 ルドルフ :浦井健治
 
アダム以外に日本で同じものを連日みるのは初めてです。昨日は、体調よくなかったのか、もう飽きちゃったかなと思いましたが、今日はなんだか楽しかったです。実質、今日がわたしの千秋楽、浦井君ルドルフは今期早くも見納めです。チケットがとれにくかったせいなんですが、平日マチネは、修学旅行の学生たちも来るらしい。なんだかね〜と思いますが、まあ若いうちにこういうもの観れることも大事なことかもね。ウィーンのエリザベートは、やっぱりオーストリアの学生たちも遠足だか修学旅行で観るそうです。うちのスイス本社のスタッフの息子がみたそうです。
 
今日、しみじみ観ながら思ったのは、ウィーンのエリザベートは、エリザベートとトートでみせるけど、日本はフランツとルドルフでみせてるわということです。ウィーンのファーストの方のフランツって、歌はうまかったけど、外見がへんちくりんなおじさんでした。髪がくるくるって、上の方にかたまって髭がくるんって感じ。まあ、かわいそうな感じはあるんですが、どうもゾフィーお母さんの前では、小者で、エリザベートが気の毒だった記憶があります。’夜のボート’は、それなりによくて感動したりもしたんだけど、その他はうすかったんですね。が、日本のフランツは、’嵐もこわくない’でしたっけ?あの’皇帝に自由などないのだ〜’のところから、いきなりよいですもんね。わたしは、禅さんが断然よいのですが、鈴木綜馬だってもうフランツがしみついていますので、悪くはなく、むしろ大変よいといえます。あと、わたし、’夜のボート’の歌好きなんだと思います。ルドルフが死んだあとでも、ここにくると、ちょっとわくわく、聞いているうちにじ〜んとしてくるのです。ウィーンのエリザベートは、とても力強いキャラクターなので、フランツはどうしても負けてしまっているのか、それともウィーンはあまり重視してなかったのか。フランツに関しては、日本の勝ちです。
 
そして、ルドルフですね。これも、日本の大勝ち。わたしがみたルドルフがよくなかったのか、ウィーンでは、切なさのかけらもない皇太子でしたね。日本のルドルフは、実際のルドルフよりも若くて傷つきやすいところを前面に押し出して、悲劇の美青年にしたてているところが、日本人のツボにはまっているのでしょう。と、これは、浦井君の印象ですので、他のルドルフにあてはまるかどうかはわかりませんけど。浦井君がもっと大人になって、実際にルドルフがなくなった年齢の頃演じたなら、どんなふうになるのか楽しみです。その時も、’ママは僕をみすてるんだね’というのかしら。ウィーンオリジナル版では、’ムター’っていっているので、’お母さん’とか’母上’だと思いますが、2004年ウィーン版では’ママ’になっていました。ウィーンも若い系のルドルフへの転換を考えているのでしょうか?思うに、エリザベートの生涯よりも、ルドルフの方が劇的だったのだから、ルドルフのミュージカルも作ってほしいです。その時は、いち早く、日本にもってきて、井上君でなく、浦井君がファーストキャストで上演してください。本日もカーテンコールのときの、背をぴんと伸ばして、足を少し組んだような王子様立ちが美しく、最後の時を惜しんだのでした。
 
日本の方が、よいわと思った他の点は、エルマー達、ハンガリーの独立運動の人々が出てくることです。ウィーン版にはないのです。エリザベートの生涯は、そんなに劇的なわけでなく、むしろ彼女の生きた時代こそ劇的ですので、そのひとつとしてこのエピソードは、時代をよくあらわしています。また、ルドルフの人生を左右した人々とのかかわりとなって、彼の悲劇にもつながっています。独立運動の人々がつどうカフェの場面も日本の方がよいです。隠れた政治運動というエッセンスもさることながら、インテリアが日本のほうがセンスよいです。ウィーンのゴーカートは、どうもいけません。単なる噂話に興じるところなので、こういう軽い演出となっているのでしょうが、日本の政治運動、ウィーンのおしゃれなカフェの方が洗練された感じはします。
 
と、本日は、、日本版もそれなりによくできているのだわと思いながらみたのでした。基本的には、断然ウィーン版のほうが好きなのですが、悪くはありません。そろそろ、キャストが世代交代してほしいです。特にルキーニ。高島兄のルキーニって、嫌いなんですよ。当初は、あーゆーもんかもねと思っていましたが、ウィーンのKayaさんみてイメージ一変しました。ルキーニは、いやな奴だけど、嫌味たっぷりじゃだめなんです。そうね、筧利夫氏なんかよいのではと思ったりします。トートもね〜、どうにかしてください。若くて歌える美しい男性はいないんだろうか。浦井君でもいいんですけど、浦井君にはもうしばらく、ルドルフやってもらいたいし、フランツもやってもらいたいし、あと10年くらいはトートっていうわけにもいかないでしょう。一路さんも美しいには、美しいけど、エリザベートは、もう少し歌に迫力のある人がやってほしいです。迫力のある’私が踊る時’がみれるのは、いつのことでしょう。
 
お友達が、帝劇は、また来年もエリザベートやるらしいよといってました。今度は、もうこんなチケットのとりかたは、しません。が、浦井君の皇太子、王子様姿がしばらく観れないのは寂しいので、そのときになったらどうなっているかわかりません。とりあえず、今期浦井君バージョンエリザはおしまいです。あと、1回おまけにパク&禅さん、いっちゃいますけどね。
 
 
 
 
 
 
update:
2005/09/06



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