Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [8]   モーツァルト!
2007年12月16日
帝国劇場(東京)
ヴォルフガング・モーツァルト:井上 芳雄
コンスタンツェ:hiro ナンネール: 高橋 由美子
ヴァルトシュテッテン男爵夫人:涼風 真世
コロレド大司教 山口 祐一郎 レオポルト: 市村 正親
エマヌエル・シカネーダー 吉野 圭吾
 
前回観たとき、なんてつまんないミュージカルなんでしょと思ったけど、あれからドイツやハンガリーのオムニバスCDにはいってある曲を聴くととてもよいので、もう一回くらいちゃんと観ようと思ったのでした。それに、’MA’観て、井上君の歌、また聞きたいわと思っていたし。なんたって、特チケでたし。
 
で、結局どうであったかというと、話はやっぱりつまんなかったです。それに長すぎ。途中だれてしまいました。これが、ウィーンやブダペストだと面白いというのは、何が違うんだろう。ブダペスト版は、ウィーン版とは結構違うとは聞いていますが。
 
とはいえども、今回は前回よりは楽しめました。特によかったのが、涼風まよさん。前回の男爵夫人は誰だったか忘れたけど、歌がだめだめだったんですよ。涼風さんは、マリーアントワネットとかやった人なので、地位が高くて上から物をいうような雰囲気をたたえつつ、自分が認めるものには敬意をあらわす様子がよくでていました。このミュージカルに出てくる歌は、日本語の題名がさっぱりわからないのですけど、空から星が降る歌がとてもよかったです。この歌は、ウォルフガンが初めて父と離れて旅立つ後押しをする歌なので重要だったのだなと知りました。
 
あと、前回はあんまりきずかなかったけど、わりとよかったのが、吉野圭吾さん。この役、ブダペストでは、ゾルタンがやっているんですよ。ハンガリーミュージカルのオムニバスCDで聞きなれた歌です。う〜ん、そういえば、ゾリに似つかわしい役かもとか、吉野君と重ねてみていておもしろかったです。髪が長くて、後ろで結わえているのが、似合っており、これは日本人には珍しい。アンジョルラスやってたそうですが、この人なら、まあ許してもよいかなと思いました。
 
山口さんの役は、ブダペストはサボーPがやっているのです。う〜ん、観てみたい。と、東京キャストそっちのけですみません。山口さんは、山口さんで、別に期待以下でも以上でもなく、よくも悪くもなく。まあ、歌はうまいです。
 
これはだめだわだったのが、コンスタンツェ役のHiroっていうですか?元スピードの子。最初、この若さがすれてなくてよいわと演技の方では思っていたのです。が、歌がだめです。どうして、東宝ミュージカルは、何の訓練もさせないで、アイドル歌手をステージにあげるかな。この子、沖縄の何とかいうタレント養成学校出身じゃなかったでしたっけ?この学校で、妙な訓練受けたのか、声は出ているけど、妙な癖、イントネーションがおかしいので、歌詞が聞き取れないんです。歌謡曲を歌う歌い方なんでしょう。コンスタンツェの孤独な愛を求めた叫びが、わあ、やめてほしい〜と思うようなアイドル歌いでした。鍛えなおして出直してほしいものです。
 
何でこのミュージカルはこんなにつまんないかと思うと、ひそかにこれは、市村さんと姉役の高橋ゆみこのせいではないかと思います。これは、さだかではありませんが、彼らの登場シーンがわたしにとってはどうもしっくりこなくて、退屈で、歌に好感が持てないのです。どこがどうだからかはわかりません。だから、ここが原因とはずばりは言いにくいところではあるのですが。
 
そして、やっぱりよかったのが、井上君。井上君て、ほんと、顔だけがだめなんですよ、ミュージカル俳優として。幕があいてすぐは、う〜ん、この役はやっぱり、中川君のもんだわとか思っていたのです。井上君は、こういうキャラより、まじめでちょっと暗い、そうね、エリザベートのルドルフなんて、ぴったりという感じの人です。穴のあいたジーンズで、常識はずれの子供っぽい奔放な役は彼には似つかわしくないのですね。だけど、まあ、歌いはじめると吹き飛ばしてくれます。この人、音符のひとつひとつを、ひとつもはずすことなく、カウントも正確に、きっちり歌います。だから、彼の歌は、はっきりと歌詞が聞こえるし、強くても弱くても、動いていてもとまっていても、一人でも2人でも、歌として正しさ満点という歌い方です。この歌にひきずられつつ迎える二幕は、ちょっと大人になって苦悩するウォルフガンが中川君とは違っていい味だしたなと思います。ウォルフガンは、中川君の役だなとは思いますけど、こういうのもありよということで、井上君のウォルフガンは味わいがあって好きです。帰りに井上君版のCD買おうかと思ったら、モールァルトは、2人が共同のスタジオ録音のピックアップ版しかないそうでやめました。何故なら、一番感動して、一番聞きたかった、一幕と二幕最後の歌が中川君になっていたので。残念です。で、井上君のこの力強い声ならば、アンジョルラスを見たいわ。顔はこのさい許す。マリウスが浦井くんで、お願いしたいわ。まあ、これはないでしょうけど。将来的なものでいえば、ロミジュリのロミオは、中川君でなく、井上君にしてほしいです。’Aimer'をきっちり楽譜どおり、力強く甘く歌ってほしいです。あ、この場合、マキューシオは浦井君で。
 
まあ、なんやかや思うところはありますが、本日は、井上君の歌だけでチケット代OKって感じでした。キャスト発表みて、すっかりみる気のうせていた’ミスサイゴン’も、井上君の時はいってもいいかなと思いました。だけど、’ウエディングシンガー’はいかない。あ〜ゆうキャラはやんなくていいです。そうだ、鹿賀さんの後継者、ジキル&ハイドは、井上君でどうでしょう?韓国版のチョスンウ君に負けないと思います。
 
 
update:
2007/12/16



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