Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [82]   レミゼラブル ロンドン公演(4)
2005年7月27日 ソワレ
Queen's theater(ロンドン)
Jean Valjean : Tim Godwin Javert; Cornel John
Fontine ; Kerry Ellis
Thenardier : Barry James Mme Thenardier : Claire Moore
Cosette : Julia Moller Eponine : Shonagh Daly
Marius : Hyden Tee Enjolras : David Thaxton
 
ロンドンに来たら、クィーンズにくるのはもう習慣になってしまったかのように、またまた今回もきちゃいました。今回は、観たいものが いっぱいあって、迷いに迷った到着日、メアリポピンズ、ユアンマクレガーのガイズアンドドールズなど、あきらめねばならない作品をふ りきり、やっぱり選んでしまったレミゼ。6月末に恒例のキャスト総入れ替えがあったので、わたしにとっては、アンサンブルの方々をふく め全くお初のメンバーばかりです。これは、何をおいてもチェックにいかねばと、同行した人々と別れて一人クィーンズに向かったのでし た。
 
この日は、マチネがあった日なので、やはり出演者にセカンドの方がまじっています。初めてのパターンですが、ジャンバルジャンがセカ ンドです。今回のファースト、ジョンオーエンジョーンズさんは、昨年オペラ座のファントムで歌声聞いたので、まあ、未練はありません が、なかなか歌える人だったので、残念といえば残念です。で、カバーは、ティムゴドウィンさん。ん〜、ん〜、だめでした。何がだめと いっても、体型。いきなりすみませんね。ジャンバルジャンは、ヴィジュアルの人じゃないのでこまかいことはいいんですけど、どうも背 が低く(ジャンバルジャンって、大きい人がやるでしょ)、おなかがでていて、いわゆるずんぐりむっくりなんです。そして、歌はまあ平 凡。なんか、感情移入できない人でした。おなかがでてるジャンバルジャンっていうのは、どうも現実味がなくないですか?今までは、ジ ャンバルジャンのカバーって、工場長役の人がやっていて、その人が出世して後にジャンバルジャンやったりすることもあるらしいのです が、今回も工場長役の人がやったほうがよかったのではないかと思いました。このずんぐりむっくりバルジャン、後々災いします。
 
何が今回のキャストで驚いたといっても、ジャベールとアンジョルラスに黒人もってきたことです。わたしは、アンジョルラスだけは、絶 対に黒人は許せないと神様に、どうかセカンドの人にあたりますようにとお願いしたせいか、アンジョルラスはセカンドの白人でした。こ のことは、後ほど。そして、まあ、ジャベールは、日本と違ってこちらは、ヴィジュアルより歌唱力重視で、先月までは、あのマッカーシ ーおじさんや、マイクディクキンソンなど、それはそれは歌えるおじさんたちが固めていた役ですから、黒人でも何でも歌えればOKです。 コーネルジョンさんは、ライオンキングしてた人だそうです。黒人ジャベールって、結わえた長い髪が、ちゃんとくりっくりっのみつあみ になっており、なかなか芸が細かい。この方は、今回のキャスト一のスタイルで、体型はNo.1でした。ですから、よけいジャンバルジャン のずんぐりむっくりが目立つわけです。で、どうだったかというと、歌は、まあよいでしょう。この方のジャベールって、結構ジャンバル ジャンへの憎しみにあふれており、すご〜く意地悪っぽく歌います。こういうことを書くと人種差別的ですが、黒人のうらみを白人にぶつ けているみたいにみえるくらい。期待のStarと自殺は、可もなく不可もなく、マッカーシーおじさんの圧倒的な歌唱力の迫力はありません でしたが、悪くもなかったです。コーネルジャベールは、意外と熱い人なので、自殺の場面はとりみだしてました。あんなに憎んでいたジ ャンバルジャンに心乱されて、信念狂わされて、壊れて死んじゃったジャベールでした。
 
フォンティーヌも昨年までのジョアンナアンプリさんが強い印象を残しています。東洋系の容姿で、りっぱにフォンティーヌをつとめあげ た歌唱力と演技力は、マッカーシーおじさんと2大柱といってもよかったのではと思います。今回のフォンティーヌは、ヴィジュアル的には まさに原点にもどったかのような金髪の美しい人です。ジョアンナさんの迫力の歌声はありませんが、やはり原点のちょっと弱弱しいフォ ンティーヌです。これは、泣けるかもよと思ったんですが、この方は、演技がいまいちなんですよ。見た目は同情ひくのに、死にそうにベ ッドから降りるところとか、まだ力あまってるみたいで死にそうにはみえないので、ころって死んじゃうみたい。そういえば、娼婦のとき もバルジャンが’病院へ’っていう頃は、倒れそうなはずなのに、病気にはみえませんでした。もう数ヶ月してからみたほうがよかったか も。
 
全体的に、そういわけで、前回よりもうす〜い感のあるレミゼですが、ティナルディエ夫妻はよかったです。ここだけは、きちんとやれる 人持ってくるようで、ティナルディエもティナルディエ夫人も大変よいです。ティナルディエ夫人は、前回のおでぶの人は、見た目も演技 もこれは、他の人はかなうまいと思っていましたが、今回の人はおでぶじゃないけど、あのこわくて、無知で、計算高いティナルディエ夫 人を熱演しておりました。この辺は、全体をひきしめるのに役立っています。
 
そして、アンジョルラスですね、アンジョルラス。わたしは、人生初のアンジョルラスが、オリバー君だったせいで、一生アンジョルラス には厳しい目をむけざるえないことになってしまいました。群集の中にいてもきらっと光るカリスマ性、あの赤いベスト、バリケードから 逆さづりになる最後、誰にでも許してよい役ではありません。今回、一年も黒人のR&B出身の人がやるときいて、いったいマッキントッシュ のところは何を考えているんだとがっくりきた覚えがあります。せめて、わたしの観る日は、セカンドにしてねと。だって、去年マリウス は、ゲーリーのカバーのダニエル君のほうがずっとよかったこともあるしね。で、ディビッドサクソン君。ひさしぶりの金髪アンジョです 。髪も結わえているし、まあ、わたしが来るということでがんばってくれてはいます。(そんなこともないでしょうが)が、平凡なんです よ。この人もふだんは、アンサンブルの人なので、きらっと光るカリスマ性とか、それなりの美しさがないのよ。歌は、まあよいですよ。 リーダーシップもあるしね。デビッドアンジョは、やさしいアンジョでした。グランテールがバリケードでやけになって、お酒を飲んでい いるとき、ラミンアンジョや日本のアンジョルラスは、冷たく他の人からお酒をもらうけど、デビッドアンジョは、グランテールから酒瓶 をうけとり、肩をだいて、彼の友情にこたえていました。レミゼって、びっくりするくらい、どこでも誰でも同じ演技なのに、この辺は自 分で解釈してもよいのでしょうかね。悪くはないが、うす〜い、カラレスなアンジョルラスでした。
 
わたしとして、どうしてもはずせないのが、マリウスですね。前回のゲーリーにはがっかりさせられました。今回は、大陸越えて、ニュー ジーランドの若きスターがやってくるとのこと、まあ、期待せず待ってよう。ハイデンティー君、ふ〜ん、なるほどね。茶色の髪を細くポ ニーテールにしてあって、今回はアンジョルラスとはおりぼんコンビで、この辺はわたしの好み踏襲してます。ハイデンティー君、大きい です。背も高いし、けっこうがっちりお肉もついているし、これは、バルジャン大丈夫だろうかと心配になります。大きいだけに、ダニエ ル君やジョンリー君のようなはじける少年のかわいさはありません。まあ、ういういしいといえば、ういういしく、一般人のフランスのぼ んぼんはこんなもんかもねという感じ。これは、だめだわと思うところはないけど、ああ、かわいい、いとおしいという感じもありません 。そう、この人もうす〜いかな。このうすさが幸いしたのが、’Empty chaire at Empty table’です。これは、よかったです。久々に、そ うよ、この力をぬいた感じ、これがわたしのEmpty chaire at Empty tableなのよと、ジョンリー君の軽さを思い出すようなでだしです。よ いですよ、ハイデンティー君。手放しに大好きとはいわないまでも、この部分はよいですよ。絶対またみたいとは思わないまでも、またハ イデンティー君でもいいよという感じ。この大きな子をバルジャンは、地下水道でどうするのかしらと、不安いっぱい期待いっぱいにみた ところ、さすがにお姫様だっこはなし。ずんぐりむっくりバルジャンでものっぽのハイデンティー君は、ひきづるだけで精一杯。日本のマ リウスって、結構しっかりたって歩いていたのが気になっていましたが、ハイデンティー君は、がっくりバルジャンにぶらさがっている感 じで、これは、毎日バルジャンお疲れだわと同情してしまいました。肩にかつぐのもなしかと思ったら、なんとかがんばっていました。
 
最後にジャンバルジャンが暗〜い部屋で、司教様からいただたろうそくの灯でひとり死をむかえようとするシーン。ここは、わたし好きな のです。フォンティーヌがあらわれ、コゼットとマリウスがやってきて、孤独からいっきに救われて神のもとへ召される瞬間。日本では、 いつもいつも涙があふれる場面です。が、今回、どうしてもおなかのでたずんぐりむっくりに邪魔されました。確かに、よいのですよ。歌 も雰囲気も、そして、終わってやっぱりじわじわレミゼはよかったと思ったのですよ。でもでも、このずんぐりむっくりバルジャンのおな かは感動の邪魔になってしまったことは否めません。
 
まあ、いろいろ思うとことも多いキャストチェンジですが、作品の力と音楽の美しさはかわらず、やっぱり大好きな作品です。長いことや ればいろんなことがあるのでしょう。がんばって、ずーと、ずーとロンドンでロングラン続けて、いけばいつでもクィーンズにレミゼあり という状況でいてほしい。キャストチェンジする頃、またロンドンで観たいです。
update:
2005/08/03



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