2005年7月10日 マチネ
東京芸術劇場(東京)
ジェームス:ウィルケンプ エフィー:ハンナヴァッサロ
ロビー:アダムガルブレイス ドーティ:シェリーウィリアムス
ガーン:フィリップrィリンガム マッジ:友谷真美
アンガス:マットフリント ユアン:リースマイクル
ジーニー:ジェマペイン モーラッグ:レイチェルランカスター シルフ:ノイトルマー
アダムの公演以外で、千秋楽に行こうという気持ちになるなんて思いもしませんでした。よっぽど出演者とか作品に思いいれがないと、わざわざ人気の日をねらいませんものね。今日は、チケットレスキューで急遽譲っていただけて、F列なのに10,000円と、大変お得な買い物をいたしました。なんたって、今日の舞台の迫力、今まで4回の中で一番。心残りなく、ウィル&ノイの組み合わせだったし。日々、質素につつましく暮らしていると、こうして思いがけずよいものに出会う幸運にめぐりあえたりするのですね。
昨日は、マチネ&ソワレ、アダム&ジェームスだったとお友達から報告がはいり、これで千秋楽はウィルよねと安心して眠りについたのでした。それでも、おそるおそる会場にはいると、ウィルです。さあ、最後に今が旬のあなたの踊りを存分にみせてよねと、わたし自身今までで一番わくわく気合いれて、客席についたのでした。ほお、昨日お休みしたからか、ウィルは、元気いっぱい、迫力いっぱい、席が舞台に近いせいか、ジェームズの退廃的なやりきれなさにあふれたエネルギーを感じます。わりと、ちゃんと演技してたんだなと今日は、細かいジェームズの表情の変化がとてもよく見えます。こんなことなら、最初から気合いれて、ちゃんとした席を買っておけばよかったなと思ったりして。わたしは、何度も書くようにウィルのファンじゃありません。が、今日気づきました。ウィルのダンスをしているところをみて、わたしはウィルのファンになってしまっていると。ジェームスとして踊る時の彼が好きです。デマチのときとかは、別に心ときめくことはなかったので、この人は、舞台にいるとき、特にこの役をしているとき、ものすご〜く輝きを放って、人々の心をのみこんでしまうようです。それは、若さゆえの輝きもあり、勢いもあり、今このとき、この役に出会えた運命もあると思います。久しぶりに、神様、ありがとうと素直にいえる公演に出会えました。作品としても好きだし、今このときのウィルのダンスもすばらしいし、まわりをかためるダンサーそれぞれも魅力的でした。ウィルケンプはまだ若いんだから、もうしばらくは、ダンスに専念して、こんな風に挑戦的な作品に出演してほしいです。映画で名を売ることもよいけれど、ダンサーとしての日々はかぎりある日々です。映像で残すなら、是非、その躍動する姿で残してほしい。
本日のシルフは、ノイ。よいです。いたづらっぽくて、おてんばで、ジェームズが大好きで、最後はとても悲しくて。ウィルの危ういジェームズとは、どこか通じるものがあります。エフィーは、ハンナヴァッサロ。わたしは、ミカスマイリーよりハンナの方が好きです。ミカは、どっちかというとお姉さんぽくジェームズを扱っているように思えますが、ハンナはジェームズが大好きで彼の行動にとまどってどうしていいかわからない様子がかわいいです。ガーンは、やっとみれました。フィリップ君です。はまり役ですね。フィリップ君は、脇にいて、心やさしくなんだか自分の思いをとげられないみたいな役がよく似合います。本日のロビーは、アダムガルブレイスです。この人のロビーもよいです。スコットランドの兄ちゃんそのものです。でっかくて、赤いタータンチェックのスーツが似合います。いかにもいそうな田舎のちょっと不良だけど友達思いのいい奴風です。最後にジェームズリースがみれないのは残念ですが、ウィル&アダムが出てたら、役がないのはしょうがないですね。
この作品に出会う前は、マシューボーンは、もしかして1発屋なんじゃないかと疑っていました。Swan Lakeは、まぐれで、いろんな幸運が重なってできたのもではなかったのかと。しかし、こうしてSwan Lakeの直前の作品の再演をみて、その思いはなくなりました。彼が夢見ていたもの、情熱は一時的なものでなく、ずっとささやかに継続しているものなのだと。今、マシューは、お金持ちになったし、名声も手にはいりました。素敵なダンサーたちも側にいます。どうか、商業主義の波にのみこまれることなく、技巧に走ることなく、本能的にうったえるものに耳を傾け、作品にとりくんでほしいです。ハイランドフリングの頃の熱い思いをこめて、新作を発表するなり、既存の作品の再演を検討してほしいです。そして、その作品には、是非、その時ならではの輝きのあるダンサーを厳選して起用してください。今回のこの作品で、よい公演は作品だけでなく、ダンサーだけでなく、この2つともが重なったとき、信じられない輝きの時をもたらすのだと認識しました。
思いがけず、こんな梅雨時にすばらしい作品とダンサーに出会えたことを幸運に思います。
追記
アダム(クーパー)の次の構想として、ドラキュラがあげられています。今まで、サラの首筋にアダムがくちづけて、血の筋がつたう姿のポスターを想像していましたが、ふと思いなおして、サラでなくウィルでもよいわと気づきました。いやいや、そっちの方が楽しみだったりして。インタビューwithヴァンパイアのトムクルーズとブラッドピットのように。アダムがウィルの首筋に噛み付く姿、想像しただけで、う〜ん、たまりません。その時は、アダムの髪は普通で、髭もなくて、胸毛はそのまま。でも、美術はレズさんで。
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