Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [88]   モーツァルト!
2005年7月9日
帝国劇場(東京)
ウオルフガン:中川晃教 レオポルド:市村正親 コロラド司教:山口祐一郎
コンスタンツェ:西田ひかる ナンネール:高橋由美子
ヴァルトシュテッテン男爵夫人:久世星佳 
 
これは、エリザベートの作詞作曲コンビ、クンツェ&リーヴァイの作品で、やはりウィーンオリジナルミュージカルです。観たい、観たいと思いつつ、特チケでるまで待つわと思っていたらでました。と、いうわけで本日は、特チケらしく2階の端っこから観劇です。
 
う〜ん、はっきりいって、いまいちでした。これは、近年まれにみるつまらなさです。宝塚は、エリザベートには真っ先に手をだしたけど、モーツァルトは素通りしたし、そういえば、ハンガリーでもオランダでも公演があるという噂は聞いてませんね。あ、ハンブルグはあったみたいですね。日本で再演、それも2ヶ月も。何ででしょうね。こんなことなら、モーツァルト!1ヶ月、エリザベート2ヶ月にしてほしかったです。これ、リピーターはいないと思いますよ。
 
何がいけなかったのだろうと考えると、これ、結構単純な話なのに、こりすぎてつめこみすぎなんです。見渡せば、中川君にしろ、市村さんや山口祐一郎にしろ、それなりの役者もそろえていますね。衣装だって、豪華だし、舞台装置だって、ひっこんだり、でてきたり、凹凸あるし、ウィーンで観たエリザベートの可動式舞台のテクニック踏襲してます。そうそう、音楽もよいといえばよいしね。だけどね〜。台本がよくありません。だから、何?なんですよ。あちこち、いろんな要素が出てきて、何もかもがうすまってしまって、何を焦点にあててるんだか、ず〜と気持ちが平坦なまま、途中であきてきちゃったりして。1幕終わって、きっと2幕は盛り上げてくれるに違いないと思っていたら、同じ調子で最後まで。こういう台本じゃあ、役者も気持ちいれこめないのではないかと思ったりしました。
 
中川君は、歌はうまいです。この役にもよくあっているといえばあっているかもしれません。しかし、そもそもウオルフガンをとりまく人々や環境がぼけているので、彼もどこにウオルフガンの苦悩を持っていくのかはっきりしないんですね。お父さんとの確執と愛情とか、コロラド司教に代表される権威との対決とか、コンスタンツェとの愛とか、それより何より天才である自分自身の才能とか、要因はたくさんあるんだけど、どれもこれも彼を決定的に追い詰めているようにも思えず、なんだか空回りなんですよ。それより何より、市村&山口(おお、これは、劇団四季オペラ座の怪人のオリジナルコンビです!)という大御所が、全然感銘をあたてくれないのです。ちゃんと、聞かせる系のソロもあるのに、市村パパは、どうしてそんなにウオルフガンの行動に理解をしめさないのかわかりにくいし、山口司教殿は、ウオルフガンを結局どうしたいんだかわかりません。たとえば、お父さんは、天才を自分でいつまでも支配していたいことと父としての愛との板ばさみに苦悩するとか、司教は権力を追及しつつも芸術の前にはひれふさざるえなかったとかそれなりに表現のしようもあろうかと思うのですが、そのような影もみえず。やたらと、深刻な曲調だけが、この二人の存在の重みを教えるのみです。
 
このミュージカルは、結構群舞のシーンがあります。とても華やかです。歌も結構よいです。が、無駄なんですね〜。散漫になるんですよ。だから、中だるみをおこします。エリザベートのときは、メインの部分以外のゴーカート風のカフェのシーンとか、チェスの格好のゾフィーと側近のシーンとか、マダムヴォルフの娼館とか、こった演出がけっこうめりはりとなってよかったのですが、今回はこの手法が裏目にでました。ああいう演出は、土台の話がしっかりして、さらにかなり洗練されてないとこのような結果になるのだと知らされました。
 
次の公演では、ウオルフガンの一人は、浦井君ではないかといわれたりもしています。まあ、浦井君なら、前から3列目くらいで、浦井君を観るというのならOKです。あと、ふと、この役はジョンリー君のさらっさらっ金髪を結わえてやってくれたら似合うかもと思ったりもしました。つまり、ものすご〜くかわいい男の子が演じれば、いろんな薄さやつめこみすぎを超えてどうにかなるかもしれません。音楽はよいのでね。あと、ウオルフガンモーツァルトという目のつけどころもよいと思います。これも、マッキントッシュに買い取ってもらって、焼き直ししてほしいものです。
 
 
update:
2005/07/09



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