2005年7月7日 ソワレ
東京芸術劇場(東京)
ジェームス:ジェームスリース エフィー:ミカスマイリー
ロビー:アダムガルブレイス ドーティ:レイチェルランカスター
ガーン:ロスカーペンター マッジ:友谷真美
アンガス:フィリップウィリンガム ユアン:リースマイクル
ジーニー:ジェマペイン モーラッグ:ハンナバッサロ シルフ:ケリービギン
けっこうはまっちゃったみたいで、本日3回目です。幸いなことに、この公演は、チャコット割だのセブンイレブン割引だのぴあだのe+だのとディスカウントチケットが豊富なので助かります。本日は、ぴあの5500円のチケットですが、2階B列は悪くありません。わけあって、2幕は1階E列でみせてもらったし。正規料金13000円は、高すぎると思いますが、S席10,000円、A席9,000円 B席6000円くらいなら、非常によい舞台といえると思います。
ボックスオフィスにチケット引き換えにいったら、本日のキャストが。やられました。ジェームスリースじゃありませんか。何度もいいますが、ウィルのファンってわけじゃいけど、今日はウィルのジェームズみたい気分だったんですよね〜。はあ、なんか、ちょっとショックです。これは、昨年夏、レミゼのマチネでオリバー君がお休みでジョナサンがアンジョルラスやった時の胸にぽっかり穴があいて、ふゅーふゅーと風がぬける感じ。まあ、いいか。ジェームズリースだって一回くらいは観といても。アダムガルブレイスも出るしさ。と、自分で自分にいいきかせても、う〜ん、わりきれない。
で、本日の1幕目。印象、でかい!ジェームズリースもアダムガルブレイスもとっても大きくみえて、(実際も背は高いようですね)生々しいほど男性的です。ジェームスリースは、多分このお話の主人公のキャラクターにはウィルより近いのではないかと思います。失業中の溶接工という設定です。今日、ジェームズリースをみていて思ったのは、ジェームスリースとウィルの堕ち方っていうのは根本的に違うということです。ジェームスリースの場合は、現実の生活、たぶん失業のことや、結婚によって自分の先がみえてきたことへのあきらめによる自暴自棄がドラッグへ走らせて、身の破滅につながっているように思えます。これは、とても素直な解釈です。ウィルの場合、日常生活での具体的な失望感というより、そもそも人生の中で人間の弱さとか焦燥感とか普遍的な哀しみに揺れて自分を見失いそうになっているように思えます。ジェームスリースの場合は、現実生活にいるほうが本当のジェームスのように思えますが、ウィルの場合は、シルフィードを見ている幻想のときの方が本当の彼のように思えます。ウィルのジェームスは、ドラッグで身を滅ぼさなくとも、何かの拍子に心が壊れてしまいそうなあやうさを持っています。ジェームスリースは、もっと普通のスコットランドの労働者階級のたくましい青年という雰囲気にあふれており、キルト姿がよけいに男性らしさを強調しています。もともとのジェームズというのは、こちらのジェームズリースに近かったのではないかと思いました。
二幕は、ちょっとわけあって1階へ。はじめてこんな近くでみました。シルフィードの姿は、思った以上にグロテスクです。遠くからは、白い衣装だと思っていましたが、男性の方は、下側はほとんどグレーです。メイクはしろぬりに目のまわり黒いだけでなく、ちょこちょこ傷みたいなものもついています。足には、泥はねみたいな、お化粧。ちょっと迷い込んだら、こわいような世界です。本日のシルフは、ケリーです。ケリーのシルフはわりとさらっとしています。ジェームスに羽を切られて、苦しむところは、物理的に苦しそうという感じ。ノイのなんだか悲しく切ない情緒的な感じとは違いますが、悪くはないです。ジェームスリースの現実的なジェームズとよくあっていて、あっさり系です。血まみれで二人で踊るところも、やりきれなさのようなものはなく、なんとかシルフを自分のものにしたいとりもどしたいという普通の青年ジェームズの欲望と後悔という感じでした。
このあと、実は千秋楽のチケット買ってあるのでした。もう、ジェームスリースの普通の労働者階級青年バージョンもみせてもらったことだし、最後はやっぱり切ない夢見る青年ウィルのジェームス&情緒あふれるノイのシルフでしめたいものです。この作品は、DVDをリリースしてほしいと思います。もちろん、ウィルでみたいけど、ジェームスリース版とウィル版の2枚組みみたいな感じもよいのではないかと思います。ジェームスリースの方が正当ハイランドフリングのような気がしますので、やっぱり残しておいてあげなくちゃいけませんし、今が旬のウィルも残す価値ありだと思うのです。
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