Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [90]   愛と幻想のシルフィード(翌朝のメールから)
2005年7月2日
 
先週予告のとおり、昨日、愛と幻想のシルフィード2回目見てきました。26日は、予告に反して、ウィルでなくジェームズリースが踊ったとかあったので心配してましたが、ウィルでした。レビューにも書きましたが、ウィルは大変よかったです。デマチのとき、これは、怒られてしまいそうですが、Swan Lakeはもう踊らないの?と聞いたら、多分もう踊らない、ずいぶん前のことだからといっていました。まだ若いし、踊ってほしいと思っている人もいると思うよといったら、わかんないねとのことでした。いつも汗だくでサインしているので、昨日は、わたしの小さいハンドタオルをあげました。使ったあと、返さなくちゃいけないかと思ったらしいので、持ってていいよといったら、ぽっけにいれてもってかえりました。かわいい人でした。アダムなら、返してもらいたいところですが。予断は、別として、ご依頼のとおり、覚えている詳細を書きます。
 
最初は、クラブのお手洗いにウィルが一人出てきて、薬をのみます。(ドラッグは注射でなく、経口タイプでした)しだいに、トリップしてきて、男性便器に倒れこみます。お手洗いは、女性用と男性用と左右に設置されていて、その壁のうしろにシルフが現れて飛んでいます。そのあと、お手洗いにお友達や婚約者やその女友達がはいってきて、ジェームズを起こしてダンスが始まります。このダンスがなかなかよいです。ダンスは、文章で表現できないので残念ですが、コーラを飲みながら、男女ペアになって踊ります。服装は、ウィルは赤いタータンチェックのキルトにハイソックス、白いシャツ、革ジャン。お友達もそれぞれタータンチェックがはいっており、キルトの人もパンツの人もいます。
 
舞台は、ジェームズの公営アパートの一室に。男の子たちは、乱れた様子で眠っています。ロビーは、女性の下着を頭からかぶっているし、床にからまって寝ている人もいるし、酔っ払ってねむりこけた様子。そこへ、女の子たちがはいってきて、男の子たちを起こします。女の子たちは、結婚生活用のお買い物をしてきた様子。もうすぐジジェームズとエフィーは結婚するのです。エフィーたちは、家事を始めます。エフィーのことをジェームズのお友達のガーンは好きみたい。エフィーのお友達のマッジはジェームズと昔つきあっていて、今でも彼のことが好き。薬も彼女がわたしているのです。マッジがカード占いをすると、なんだか不吉な予感が。そうこうするうちにお友達はいなくなります。ちょっと展開忘れましたが、またジェームズは薬をやってシルフの幻想をみはじめます。シルフは、ジェームズを翻弄しながら、エフィーがしていたように家事のまねごとをしてアパート中をちらかしてしまいます。ここは、とてもかわいいです。途中で、結婚式のまねごともします。タータンチェックの布をベールがわりにして、ジェームズと腕を組んで歩きます。また、シルフが逃げるとお友達がかえってきて、結婚式の準備を始めます。前後しているかもしれませんが、ガーンが白い蝶をみつけて遊んでいました。これがシルフのような感じもします。結婚式がはじまり、結婚式のダンスになります。その最中、またジェームズは、シルフの幻想をみてしまい、シルフを追いかけます。追いかけてもつかまらなくて、やっと白い蝶をみつけます。が、ガーンはエフィーがかわいそうで、その蝶をとりあげ、高い高い公営アパートの窓から逃がしてやります。ジェームズは、その蝶をおって、窓の外で身を投げます。ここで、一幕終了です。
 
2幕は、街のそばの森の中。1台の車がとまっており、ジェームズがさまよい歩くように登場します。ここは、解釈がいろいろあるようで、ジェームズは死んでしまって、シルフィードたちの世界に迷い込んだというのと、死ぬ前の(窓から落ちる一瞬)瞬間の出来事の幻想というのがあるようです。そこへ、たくさんのシルフィードが現れます。初日は、遠くてよくわかりませんでしたが、シルフィードの衣装は、けっこう醜いのです。白い衣装に泥はねがあるような、したのほうは、やぶれてぼろぼろみたいな感じ。目のまわりは、白鳥のメークのように黒くしています。男女がまじっているので、凹凸もあり、あえてねらったまとまりのなさを感じます。シルフィードのダンスは、とても白鳥の群舞に似ています。片腕をあげて振り向くところや、後ろ向きに羽を中心に羽ばたくところや、足をふみならして、とんとんと近づくところや。ジェームズは、シルフィードたちの間をぬって踊ります。やがて、シルフィードたちは、シルフの感情と呼応していくので、シルフの気持ちのままに皆が同じ振り付けとなります。ジェームズを大好きという気持ちがいっぱいのダンスがはじまります。なかなかエロティックな場面もあります。車の中でのセックスみたいな描写もあります。ジェームズは、そのうち、シルフを独占したくなり、みんなと離れて二人で旅立とうと誘います。シルフはとまどいつつも、かばんを持ってジェームズについてきます。二人のデュエット、パドドゥがなかなかよいです。それでも飽き足らず、ジェームズはシルフの羽をはさみで切ってしまいます。シルフは、血だらけです。ジェームズはシルフを得ようと必死によりそおうとしますが、シルフはもうふらふらでジェームズについていけません。二人とも血だらけになって踊ります。やがて、シルフは倒れてしまいます。場面がかわって、ジェームズとエフィーが暮らすはずだった公営アパートでは、エフィーとガーンが夫婦になってくつろいでいます。窓の外には、羽のついたジェームズの姿が。
 
観た人がくちぐちに白鳥のことを語るのは、この2幕のシルフィードの踊りのせいでしょう。振り付けがとても似ていますし、フォーメーションや雰囲気もそっくりです。
ただ、白鳥はどちらかというと男性の白鳥の力強い美しさを出したのにたいして、シルフィードはかえって醜いけど個性的な妖精たちということなので、ちょっとグロテスクな印象もあります。シルフィードの醜さと対象的に、1幕のお友達他、登場人物はとてもかわいく着飾っています。それぞれのキャラクターにあったタータンチェックの普段着と結婚式の衣装と、レズさんのおしゃれ心満載です。白鳥に比べて、こちらは、ルックスもそれなりのダンサーを選んでいるのではないでしょうか。ジェームズだけでなく、この衣装がはえるルックスとダンステクニックがともなっている脇役たちがそろっているというが、この作品のグレードをあげていると思います。
 
観る前は、それほど作品そのものにも期待もしてなかったし、ウィルケンプも兵士のときにそれほど感銘をうけなったので、One of Them的に考えていたのですが、とても好きになりました。ウィルのハイランドフリングが好きです。これは、きっとカーマンより彼の中では、代表作になるのではないかと思います。おそらく、彼の若さゆえの美しさと、10年のキャリアと、AMPの良心が生きていた頃の作品と、複数の要素が重なっているからだとは思いますが。今、このときに、ウィルでハイランドフリングをみれたことが、幸運だと思います。前にもレビューで書きましたが、どんな作品も自分の記憶にしか残すことができなくて、そのすばらしい瞬間に出会えたことは決して繰り返ことはできないのです。アダムのSwanの奇跡とは比べるべくもありませんが、作品としてパフォーマンスとして素直に好きで感動できたことは事実です。
 
update:
2005/07/02



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