5月3日 ソワレ
帝国劇場(東京)
ジャンバルジャン:石井一孝 ジャベール:鈴木綜馬 フォンティーヌ:マルシア
マリウス:泉見洋平 コゼット:河野由佳 アンジョルラス:坂元健児
ティナルディエ夫妻:佐藤正宏 森公美子 エポニーヌ:笹本玲奈
ちょっと、回数行き過ぎかしらと思いつつ、特チケだしね〜、ゴールデンウィークだしね〜。全部のジャンバルジャン見たかったしね〜。と、今期5回目です。
本日は、石井一孝さん初日だったようです。これで、バルジャン全キャスト制覇です。石井さんは、声きれいです。演技もよいです。が、若いです。声がおじいさん声じゃないのです。線も細いです。今までのバルジャンって、どっしりしていて、背も高くて、ジャベールに’おまえより強い’という言葉のとおりでしたが、石井さんは中肉中背です。幸いにも本日のジャベールは小さめの鈴木綜馬さんだから、まあよかったけど、岡さんとだとバランスちょっと崩れますね。まあ、それはよいとして、基本的にはいいんだけど、もう数年後にしぶくなってからのバルジャンをみてみたい感じです。今期、スペシャル記念版を除いたら今日が最後ですから、キャスト比較しますと、今井>別所>石井>山口でしょうか。石井さんは、もう少し年齢いったら上に行くと思います。
鈴木綜馬さん、う〜ん、フランツです。顔のつくりはけっこう、冷たいフランスの警官っぽかったけど(今日は、特チケといえどもS席ですから顔は前よりみえます)、歌い方はフランツヨーゼフでした。フランツはフランツ、フランツが’Star'歌っても、’自殺’歌ってもぴんときませんね。やっぱり、フランツは’エリ〜ザべ〜’のほうがあってるみたい。ジャベールは、3人ともそれなりの実力で、どれも悪くはなかったけど、どれもこれという人もいませんでしたね。ジャベールは、もっと歌のレベルがほしいです。これに関しては、ビジュアルで岡>今>鈴木ですが、あんまり大差はなし。
フォンティーヌは、一回井料さんをみただけですが、断然マルシアがよかったです。本田美奈子さんが参加できなかったことはとても悔やまれますが、今度はマルシアと本田美奈子とダブルにしてほしいです。高島兄の奥さんシルビアは、5月だけの出演なのでみる機会なし。と、いうわけで、今期のフォンティーヌはマルシアが一番よかったです。フォンティーヌの中だけでなく、女性歌手の中で、森久美子とならんでよかった一人です。
本日たぶん初の笹本玲奈ちゃんのエポニーヌ。乱暴な子ですね。エポニーヌの粗野な感じがよくでてました。エポニーヌは、結局新妻聖子さんはみれませんでした。真綾ちゃん>玲奈>ANZAの順です。真綾ちゃんの素直なエポが好きでした。
本日のアンジョルラスは、坂元健児氏。ひさしぶりに聞くと、坂元氏は、やっぱり歌がうまい。ひとりだけうまい。どうして、坂元氏は背がちっちゃかったんだろう。大きければ、将来バルジャンとかできるのに。おしいです。日本のアンジョルラスに美しさはなく、カリスマ性もありません。坂元>岸>小鈴かな。東山義久はみてません。これは、あえてさけたというのもあります。みてないことの後悔もなし。
今日の泉見洋平君は、熱かったよ。結構彼は回数みたけど、今日が一番力はいってました。特に’Empty chaire, empty table'。これは、わたし的には力いれすぎてはいけない歌なんですが、泉見くんは、これ以上力いれてはいけないところの手前までの力のいれようで、う〜ん、なかなかよかったです。マリウスとアンジョルラスは、日本で一番改善してほしいところなんだけど、まあ、マリウスはなれれば悪くなかった。岡田君もまあまあでしたが、泉見くんは、だんだんよくなったこともあり、泉見くん>岡田くんですね。藤岡君は未見。こちらも後悔はなし。期待してないから。来期こそ、浦井君のマリウスがみたいです。ダブルなら、泉見くんが参加してもよいです。
ティナルディエは、もう、各俳優の実力差が激しい役どころでした。いうまでもなく、駒田>徳井>佐藤でしょうね。ゴングは未見。駒田と徳井の差は、かなり大きいです。
あとは、5月末のスペシャル記念版を残すのみです。まあ、今日で今期キャスト分はおしまいということです。レミゼは音楽がよいし、演出やセットはほとんど世界共通なので、行って後悔をするような舞台ではありませんでした。が、毎回、なんかもうひとつ圧倒的な感動にかけるのです。ロンドンで感じたような迫力。なんでだろう、なんでだろうと考えると、わりと単純に歌唱力だと気づきました。特にジャベール。ジャベールをやった俳優さんたちは、たしかに下手じゃないけど、バルジャンやって耐えうるだけの圧倒的な歌唱力がないんです。そういう人でないと、ジャベールの重みが伝わらないのです。これは、エポニーヌにもいえます。エポニーヌをやる女優さんは、奇をてらうことなく、素直なひたむきさと歌唱力でうったえなくちゃだめなのです。これは、フォンティーヌよりも、コゼットよりも難しいと思います。レミゼは、まあ、ある意味、日本のミュージカル界のそれなりの人が集まってやっているわけですから、これが日本のミュージカル界の実力なのかなと思ったりします。それとも、過渡期なんでしょうか。もっと、各俳優の歌唱力のレベルがあがったとき、また是非見てみたい作品です。
最後に書くようなことじゃありませんが、これはどうかなと思うことを二つ。ガブロッシュの男の子が日本は幼なすぎます。もう2歳くらい上の11歳か12歳くらいの子のほうがよいと思います。
あと一つは、帝劇だけじゃないんだけど、オーチャードにもある、あの途中入場の観客。今日、司教様の場面でやってきて、おまけに携帯のチェックしてんの。なんで、この感動の場面に横切るんだ。どうして、途中入場を許すのでしょう?海外ではありえない。海外では、あいてるよい席に劇場の人の指示でうつることもあるんですって。遅れた人は、もう1幕あきらめるしかないんです。あきらめないまでも、人の前を横切らなくちゃいけない席にはつけるべきではないでしょう。もう、お金半分返してほしい気分でした。こういう劇場側の甘さが、観客自身を甘やかして、成熟した大人の観客を育てられない環境となるのでしょう。未熟な観客には、成熟した芸術は理解できないと思います。演劇は、観客の反応に育てられるのです。つまり、両者が未熟なままでは、いつまでも日本のエンターテイメントは大人の社交の場にはなりえないのです。劇場側もそこまでものごとを考えて運営してほしいものです。
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