4月30日 マチネ
帝国劇場(東京)
ジャンバルジャン:山口祐一郎 ジャベール:岡幸二郎
フォンティーヌ:マルシア エポニーヌ:坂本真綾
コゼット:河野由佳 マリウス:泉見洋平 アンジュルラス:岸祐二
ティナルディエ夫婦:森公美子 徳井優
このチケットは、一般売り前にカード会社で申し込んでいて、考えたらこんなに行くこともなかったなと思っていたら、お席はなかなかよくやっぱり行ってよかった。端っこですが、C列12っていうのは、前には誰もいないお隣も誰もいない、寂しくも貸切気分満載のお席なのでした。
本日は、司祭様はいつもの人と違うみたい。ただ、ただ優しかった司祭様でなく、イギリスの司祭様みたいに、これからの人生にしっかり責任持ちなさいよという厳しさも秘めており、おお日本もここまで来たかとちょっと感心しました。
今日は、席が前のせいか、アンサンブルの方々にも目がいきやすく、細かいところが観察できました。特によかったのが、馬車が暴走してくるぞ!の場面でスローモーションになるところ。生の舞台ですから、スローモーションといっても、生身の人間がそれらしくゆっくり動くわけです。混乱した群衆の一人が転んで、でんぐり返るシーン。ちゃんとスローなんですよ。最後の最後まで。決まったときは、思わず小さく音ださないように拍手しちゃいました。
アンジョルラスとコゼット以外は、今までみたキャストなので、だいたい印象は同じです。ただ、今日は、B席やA席じゃないのでもっと身近にいろいろ感じることができました。なんといっても、キャストの顔がはっきりみえるしね。泉見洋平君は、最初遠めにみて慣れてきたこともあり、近くでみると結構かわいいマリウスでした。あんまり意図しないでチケット買ったけど、岡田君1回、禅さん1回をのぞくと、ずっと泉見君だったわけですが、ゲーリーみたいに受け付けられない人でなくてよかった。今日は、マイクの調子悪く、一部はいらないところもありましたが、わたしは席が近かったので聞こえました。アンジョルラスは、うーん、まー、しょうがないか、こんなもんでしょ、ですね。ビジュアル的には、他の3人と大差なく、歌は
小鈴まさ記よりうまく、坂元健児よりは落ちる感じ。リーダーシップという面では、貧乏なお家の頭いい子がリーダーになった感じ。まあ、印象うすくも熱い人でした。
コゼットは、かわいいけど、声が聞こえません。この子、レミコンではいいかなと思っていたけど、歌が聞こえないとどうもねえ。コゼットは、剣持たまきちゃん>河野由佳>知念って感じ。坂本真綾ちゃんのエポニーヌはわりと好きでした。今日が楽日だったそうです。マリウスが大好きで、大好きで、なのにちっとも振り向いてもらえない切なさをはじめてみせてくれたエポニーヌでした。変にかまえることなく、力むことなく、自然体でさらっとしていてそれだけに悲しいエポニーヌでした。
山口バルジャンが、なぜ心にうったえないかと考えると、彼は生活感がないのです。トートのように実体のない役ならミステリアスでいいのだろうけれど、ジャンバルジャンはとっても人間的な人。どん底の人生から救われて、神様の御心にかなうように社会に尽くしつつも、許可書をやぶって逃げた罪に常におびえている。崇高だけど、弱さややさしさも隠せない、そういう入り混じった複雑な人間性を演じるには、軽〜いんですね、山口さんって。ジャベールの岡さんは、逆に人間的すぎ。今までと同様やっぱりいいとこのお坊ちゃまが警察になって、信じ続けた信念が崩れて自殺にいたるところが、感情だしすぎかなとちょっと思いました。今日は、笑いはなかったですが。原作のジャベールって、とっても冷静に警察で改善すべきところを綴り字ひとつ、アクセントやピリオドの間違いもなく、丁寧にまとめたあとセーヌに身をなげたのです。あんな風に橋の上で、俺の人生なんだったんだあみたいなこという人には思えないのですが。ビジュアルの点で人気が高い組み合わせらしいのですが、作品としては、ふたりとも雰囲気を軽〜くしているように思えました。
帝劇のレミゼは、最後のカーテンコールのときに、客席に向かって、小さな花束を投げてくれます。いつも舞台から遠いA席やB席からうらめしくながめていましたが、今日は前に誰もいないC列です。ねらいました。リトルコゼットちゃんが投げてくれた、赤と白のばらの花束キャッチできました。その後、泉見君が投げて、あっちの方がよかったなと思いましたが、もう持っていたので、頭の上をとおりすぎる花束をそっと見送りました。
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