Review
レビューというよりも、観劇ノートのように感じたままをそのまま綴っています。


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 [97]   Swan Lake 東京公演(5)
2005年4月26日 ソワレ
Bunkamuraオーチャードホール(東京)
Swan&Stranger:ジェイソンパイパー The Prince : クリストファーマーニー
The Queen : ニコラトラナ Girlfriend ; ソフィアハードリー
Private Secretary : アランモーズリー Young Prince : ギャブパーサンド
 
日曜日にデビッドリースがYoung Princeで出たというじゃありませんか。デビッドリースのパジャマ姿や軍服姿見たかったわと思いはじめると、ニコラトラナさんだってみたいし、クリスだってもう一回くらい観たかったし。これで、白鳥たちは、もう遠くへ行ってしまうんだわと思ったら、なんだか寂しくて、うーん、行っちゃおうかなと一瞬まよった次には、今日は行くぞになっていました。明日は、千秋楽だから、きっとまた首藤さんが出るに違いない。最後にいやな思いはしたくないので、やっぱり今夜しかないわとBunkamuraに6時すぎにたどりついたら、今回はじめてBoxオフィスに列ができていた。
 
1階席はもう後ろしかないというので、2年ぶりに3階席のバルコニーです。ここは、A席といえども悪くはありません。視界は良好です。急に決めたので、オペラグラスも持参していませんが、なしでもOK、アダムじゃないし。なあんだ、今日はギャブ君なのね。まあ、ギャブ君の王子様もこれで見納めかもしれないので、しっかり見ておきましょう。
 
念願のニコラトラナさん。お友達の話では、この方はとってもお母さんらしく、王子とは仲良しらしい。ええ、確かに仕草がやさしいです。ニコラトラナさんは、昔確かにお姫様だったに違いないお嬢様系女王様です。とてもきれいでお上品。きれいなお母さんが息子を一生懸命育てているけど、甘やかしてクリス王子ができちゃったみたいな感じ。ニコラさんは、’マイヤリング’でエリザベートの役を演じ、ルドルフに冷たくしますが、今回は王子の居室で王子の愛情を拒むところは、そういう冷たさでなく、母として女王として、王子をしっかりさせなくちゃという感じがしました。舞踏会で、ストレンジャーと踊るところは、お嬢様がはじめた出会ったときめきに酔いしれてしまって、息子を忘れてしまったかのようにみえました。ニコラ女王とクリス王子の間にはしっかり親子の絆があって、それゆえに3幕の悲劇に向かってしまようで、これは新しいパターン。
 
ガールフレンド役ソフィアハードリーさんは、印象うすいです。リーダニエルズさんのとっても天然な感じに比べると普通の女の子っぽかったです。ガールフレンドって、今回気づいたのですが、ストレンジャーが各国のお姫様と次々踊るところ、実はまっていて、踊りたかったみたいね。きょう、ソフィアさんは、あれ?だめかみたいな仕草していてかわいかったです。
 
ストレンジャーが各国お姫様と踊っているとき、王子がどうしているか知ってます?これは、絶対アダムがストレンジャーのときにはありえなかったんだけど、今日はクリス王子の動きを追ってみました。王子は、ストレンジャーから目が離せないけど、他の女の人といちゃつくのに耐えられなくて、遠くに離れてみたり、だけどやっぱりストレンジャーに触れたくて近づいてみたり、みているだけでかわいそうになっちゃいました。だから、翻弄されつつもストレンジャーと向き合えるPDDのところは、よかったねと思いました。あと、2幕の最後に王子が一番生涯のうちで幸せな夜明け、コーダのシーン。白鳥さんたちの群舞はすばらしいし、王子の嬉しそうな姿はかわいいし、またまた涙じわっときてしまいました。よかったね、クリス、こんなに楽しくて。クリス王子は、どの王子よりもかまってあげたくなるタイプ。そして、ストレンジャーがいじめたくなるタイプなのでした。
 
告白すると、ロンドン公演をふくめ今シーズンの中では、今日は一番よかったと思います。ニコラトラナさんやクリスがよいのも原因なんですが、4幕のぼろぼろジェイソンが今までホセもふくめた中で一番よかったからというのもあります。2幕のSwanも3幕のストレンジャーもわたしは、どうしてもだめです。どんなになれても認めるわけにはいきません。が、4幕は、ロンドンでみた時もよかったけど、回を重ねるごとによくなっています。例の生オケの魔法もあるんですが、あの白鳥のメロディーとオーケストラの迫力につつまれて、一層ぼろぼろなのに、王子を必死で他の白鳥から遠ざけようとする姿とか、王子と引き離されてぼろぼろの身体で手を伸ばすところとか、ジェイソンなんかで泣くんじゃないわという思いとは裏腹に目の端から涙がつたってきてしまったのでした。
 
今回、あえてSwan&ストレンジャーからカリスマ性を排除したことで、この作品が王子の物語であることを実感できました。アダムがSwan&ストレンジャーの時は、その美しさとオーラから目が離せなくて、他のところがどうなっているのか見る余裕などありませんでした。Swan&ストレンジャー中心でなくても、十分に作品として楽しめるものであり心に響くということも知りました。長く語り継がれるためには、このようなときも必要なのかもしれません。これから、韓国、英国、フランス、アメリカとツアーは続きますし、この一連のツアーが終わっても幾度も再演される作品だと思います。日本で、東京でこうして何度も観ることができて幸せでした。大好きな作品です。いろいろわかったようなことを書きましたが、やっぱり最後にマシューにお願いしたい。今度日本に来るときは、今度こそ、美しいSwan&ストレンジャーをつれてきてください。
 
群舞の白鳥さんたち、ありがとう。今日はじめて、スタンディングで拍手を送りました。それは、群舞の白鳥さんたちへの長い長い日本ツアーへのねぎらいと、感謝、そしてこれからのツアーの無事をこめたものです。
 
 
 
 
 
update:
2005/04/26



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